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現在相場考察

程度の良いモノの相場は安定、パシャC黒文字盤

2017年9月25日更新
カルティエのパシャCW31043M7について斉藤由貴生が執筆。本記事では2016年7月の安値(楽天)と2017年9月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。この1年2ヶ月での変動は0万3200円の値下がりだった。

パシャC W31043M7についての考察(2017年9月)

パシャCという腕時計は、第一次時計ブームだった2000年前後においてメジャーな男性用モデルでした。

当時の新品実勢価格は20万円台後半で、同価格帯にはブルガリスポーツロレックスサブマリーナ(ノンデイト)がありましたが、その価格帯の中では一番人気という印象でした。

なぜ人気だったかというと、その選択肢の中で最も華があると思われたからです。

ブルガリの場合、20万円台後半で購入可能だったスポーツは3針モデルでしたが、最も人気だったのはクロノグラフモデルです。クロノグラフは40万円以上という相場だったため、妥協という印象もあったかもしれません。また、ロレックスの場合もやはり40万円台だったエクスプローラなどが人気モデルであったため、それより遥かに安かった14060には注目が集まらなかったのです。

そんな20万円台後半の選択肢として、パシャCは独特の世界観がある見た目かつ、直接的な上級モデルが無い印象でだったため、多くの人にとって魅力的な選択肢となっていたのです。

実際、パシャCには3針より高いクロノグラフや、上級なパシャ38mmがあったのですが、それらは「別」という印象があったのです。

ですから、

  • 10万円台といえばオメガ
  • 20万円台といえばパシャC
  • 30万円台といえばスポーツロレックス
  • というように松竹梅の中で真ん中の存在として重宝されていたのです。

    そして、その頃パシャCにおいて最も人気が高かった文字盤といえば、黒文字盤

    当時のパシャCには白文字盤と黒文字盤がありましたが、黒文字盤は入手困難なレア物とすら言われたこともありました。ただそれは1999年頃に一度あっただけであり、それ以降は特に注目されるということはありません。

    ですから、2000年代前半までパシャCという腕時計はとても人気の高いモデルだったのです。

    しかし今では「人気モデル」という印象はありません。

    2000年代半ばよりパシャCは女性用として扱われ始め、特に今ではその傾向が強くなっています。

    そのためか相場は2010年頃と比べても値下がり傾向であり、ずっとそれが続いているという印象もあります。

    そして、2015年頃から安いモノが11万円程度で売られるようになったため、かつて10万円台で売られていたオメガ価格が逆転してしまいました。

    そのため、パシャCは「安い」「不人気」というイメージが付いてしまいがちなのです。

    けれども実はそうではないのです。

    現在、パシャC黒文字盤の相場は程度の良いモノだと15万円程度という相場。最も安いモノが10万円前後で売られていますが、程度の良いモノだと相場が異なるのです。

    さらに、程度の良いモノは比較的すぐ売れているというように、きちんとした需要があるのです。

    本記事で参考とした中古腕時計

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    本記事の価格比較

    腕時計 状態 期間 2016年7月
    の安値(楽天)
    2017年9月
    の安値(楽天)
    変動額 残価率
    カルティエ
    パシャC
    W31043M7
    中古 1年
    2ヶ月
    ¥151,200 ¥148,000 -3,200 97.88%

    2000年頃に現行だったモデルは、パシャCに限らずブルガリスポーツクロノなどもとても人気。

    これらモデルの特徴は、

  • かつて人気があった
  • 値下がり状態
  • という点なのですが、「今でも需要がある」という点が共通しているのです。

    例えば、不人気モデルの場合、10万円台前半で程度が良かったとしても、なかなか売れないということになるでしょう。

    しかし、パシャCスポーツクロノは目を離したすきに売れているという様子。

    よって、実は今でも人気モデルなのです。

    パシャCの場合、特に人気が高いのは、

  • グリッドグレー文字盤
  • グリッドサーモンピンク文字盤
  • 黒文字盤
  • 紺文字盤
  • なのですが、黒文字盤がもっとも流通が多い反面、程度の悪いモノが目立つ印象です。

    実際黒文字盤は、白文字盤が2000年にビッグデイト化された際もかたちを変えずに売られていたたため、ラインナップされた期間が長く、さらに時計ブームとその期間が被っている時計です。

    12、3、6、9のフォントが発光塗料タイプなのですが、黒文字盤のフォントは白文字盤などとは異なる独特な形状。紺文字盤も同じく夜光なのですが、フォントの形状は白文字盤の形をそのまま発光塗料化させたような印象です。

    ですから、黒文字盤の独特な文字盤には引き寄せられる魅力があり、コレクションの1本として気軽に買える価格帯であるというのも良さの1つだと感じます。

    この記事の執筆者
    斉藤由貴生
    腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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