最近「パテックフィリップといえばノーチラス」というイメージになりつつありますが、かつてはパテックフィリップといえば、この3998のようなシンプルな時計という印象でした。
3998は90年代前半に生産された個体が多いモデルで、自動巻ムーブメントを搭載した上級なカラトラバ。
センターセコンドの3針とデイトというシンプルな組み合わせで、キャリバー315を搭載するモデルでよくみられる構成です。
センターセコンド+デイトのキャリバー315といったら、かつてカラトラバより遥かに安く売られていたアクアノートやネプチューン等でも採用されているため、特にレアさを感じることのない仕様ですが、カラトラバの場合、自動巻は比較的レアなモデルとなっています。
カラトラバといえば96シリーズというように売れ筋モデルは手巻きモデル。自動巻モデルはそれより高く、さらに有名モデルもあまり無いため、何かと選択されない傾向があるのでしょう。
ですから自動巻のカラトラバは中古相場でも手巻きモデルより高い傾向があるのです。
実際、同じ時代の3796は今でも80万円台で手に入るのに対し、この3998は129万8000円という価格です。
そしてもう一つ3796と3998には大きな違いが存在します。
それは、3998がとても値上がりしているという点です。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2011年5月 の安値(ヤフオク) |
2017年10月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
カラトラバ 3998J |
中古 | 6年 5ヶ月 |
¥722,400 | ¥1,298,000 | 575,600 | 179.68% |
3998は2011年の段階で70万円台という相場でしたが、昨年2016年の段階で128万円という水準になっています。
ですから、2011年との比較で50万円以上の値上がり額という優秀なモデルなのです。
一方3796は2010年と2017年の比較では約10万円の値上がりに留まっています。
3998というモデルは、一見すると人気モデルには見えない見た目ですが、実はすごいモデルなのです。
その理由こそ、「パテックフィリップといえばカラトラバ」というイメージだった時代の「良きカラトラバ」として3998が評価されているからだと思います。
また、3998はケースサイズが33.5mmと極端に小さいわけでもなく、90年代のドレスモデルとしては標準的なサイズが採用されています。
よって、
- 良き時代のモデル
- レアな自動巻
- 程よい実用性
という点から3998は近年評価されているのです。