パネライには様々なメーカーのムーブメントが搭載されているという良さがあります。
中にはデッドストックムーブメントが搭載されたモデルというような粋なモノまで存在。それらは世界的に評価されており、とても高い価格で取引されています。
デッドストックムーブメント搭載の限定モデルは、有名オークション会場で取引されるレベルの価格とレアさがありますが、その一方で通常モデルにも特徴あるムーブメントが搭載されたモデルが存在。
その筆頭こそ、2000年前後において高級モデルに搭載されていたゼニスやフレデリックピゲ搭載モデルです。
しかし、パネライにはもう一つ、インパクトの強いムーブメントが存在。
それは、2005年前後に登場したジャガールクルト(JLC)のムーブメントを搭載したモデルです。
2000年代前半はゼニス製ムーブメントを使っていたのですが、資本関係の影響のためか、2002年をもってゼニス製ムーブメント搭載モデルは消滅しています(一部限定モデルは存在)。
そして、その後継枠として同じリシュモングループのジャガールクルトムーブメント搭載モデルが出たのですが、2006年頃からパネライの自社ムーブメントモデルがそのポジションとなったため、JLC搭載パネライは数が少ない傾向があるのです。
JLCといえば、パテックフィリップに匹敵するといっても過言ではないマニュファクチュールメーカー。オーデマピゲなど三雲時計に対してムーブメント供給を数多く行っているというのは有名です。
ですから最高級という印象のJLCムーブメントが、パネライに搭載されているというのはとても特別感とレア感を感じさせられ、グッと来る要素となります。
とはいえ、JLCムーブメント搭載のパネライは少ないため、その多くが現在100万円近くするという印象。
確かに、通常ムーブメントのパネライやジャガールクルトの相場を考慮すると、JLC搭載パネライの相場が100万円というのは自然な相場という印象です。
けれども、そんなJCL搭載パネライの中でも、実は100万円を遥かに下回る価格で購入可能なモノが存在。
それが、PAM00242という存在です。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2009年4月 の安値(ヤフオク) |
2017年10月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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オフィチーネパネライ
ラジオミール PAM00242 |
中古 | 8年 6ヶ月 |
¥552,300 | ¥668,000 | 115,700 | 120.95% |
このモデル、見た目の印象はGMTアラーム(PAM00098)に似ています。
98番はラジオミールが高級モデルだった時代に登場したモデルですし、アラームという機能が付いています。一方このPAM00242は、ラジオミールが高級モデルでなくなった2006年に登場し、さらにアラームが無いため、98番のコストカット版にも見えてしまう可能性があるのです。
しかし、ムーブメントはジャガールクルトベースであり、実は98番に対してのコストカット版ではありません。
ジャガールクルトムーブメントを搭載しているのに裏スケ仕様ではなく、その点からも高級感を感じる取ることができないのが、このモデルをより分かりづらくさせています。
ましてこのモデル、2006年に登場してその翌年には生産されていないため、たった1年しか作られていないというモデル。
通常、このように短期で生産終了というのは、レア感を感じさせる要素となります。それは、パネライでも同様で、2年しか製造されていないPAM00069などは、世界中でレアと言われています。
では、なぜ1年間しか製造されていない242番がレアとされていないかというと、だれも気づいていないからでしょう。
242番が登場した2006年頃は、パネライのラインナップが新しくなった時期で、それまでのパネライファンからは「ラインナップが増えた」という印象にも写ったと思います。
よって、この242番は生産期間が短いにもかかわらず、それがかえって“埋もれる要素”となってしまい、あまり注目されず、JLCムーブメント搭載モデルとしては、かなり安く買えるという存在となっているのです。