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現在相場考察

初代8DAYS、オフィチーネパネライラジオミールPAM00190

2017年10月22日更新
オフィチーネパネライのラジオミールPAM00190について斉藤由貴生が執筆。本記事では2011年4月の安値(ヤフオク)と2017年10月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。この6年6ヶ月での変動は¥279,100だった。

ラジオミール PAM00190についての考察(2017年10月)

「8 DAYS」といえば今やパネライを象徴する性能で、自社ムーブメントモデルの多くが8 DAYS仕様となっています。

今では珍しくない印象の8 DAYSですが、出た当時は物珍しく、とても話題となった経緯があります。

通常、機械式ムーブメントのパワーリザーブ2日程度。それを8日に伸ばしたのですから、“特徴ある高機能性”として印象に残ります。

しかしデビュー当初は、この8 DAYSというものに対して、さらに“特徴”となる要素を感じることができました。

それは、2000年に登場したパテックフィリップの10 DAYSという存在が、パワーリザーブ長期化 = 高級」という印象を与えていたからです。

10 DAYSのゴンドーロは、2000年に限定モデルとして登場し、その実勢価格は数百万という水準。

当時は10 DAYSという目新しい性能とともに、グランドコンプリケーション級の新作として注目を集めていた経緯があるのです。

このPAM00190が登場したのは、10 DAYSの4年後ですが、まだパテックフィリップ10 DAYSの印象が強烈だったため、なにかと注目されたのです。

という絶妙なバランス感から、「頑張れば手の届く、特別感のあるパネライ」として、注目される存在でした。

そして、この時計にはその他にも重要な要素があり、それはジャガールクルトのムーブメントを搭載しているという点。

このPAM00190は初代8 DAYSモデルだけあって、登場した際8 DAYSにばかり目がいってしまい、JLCムーブメントを搭載したパネライということには、あまり注目が集まっていませんでした。

とはいえ、JLCムーブメント搭載ということを忘れていたとしても、高級なモデルという印象に変わりはないため、デビューした2004年当時から長らく“高価格帯のパネライ”という印象です。

オフィチーネパネライ ラジオミール 45mm PAM00190(現在参考の腕時計がありません)

本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2011年4月
の安値(ヤフオク)
2017年10月
の安値(楽天)
変動額 残価率
オフィチーネパネライ
ラジオミール
PAM00190
中古 6年
6ヶ月
¥698,000 ¥977,100 279,100 139.99%

デビュー当時の定価は約95万円。その頃ブラックシールの定価は約50万円。同じステンレスでも定価が倍近く違うというように、初代8daysのPAM00190は高級モデルだといういうことが分かります。

そのため、2011年の69万8000円という価格はこの時計としては、かなり安い水準であり、そこから現在までにかけて20万円以上の値上がりとなっています。

なおこのモデル、2004年から2006年までしか作られていません。

その理由こそ、ラジオミールの「高級から通常モデルへの移行期」にちょうどこのJLCムーブメントモデルが当たっているからでしょう。

元来、ラジオミールは金無垢モデルを中心とした高級なシリーズでしたが、今ではルミノールと特に変わらないポジションに位置します。

そういう意味では、金無垢という“ドレスウォッチ”的な高級感から、“8 DAYS”というムーブメント性能に振った高級感に移行しようとした実験的なモデルといえるかもしれません。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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