ラジオミール“ブラックシール”といえば、今ではオーソドックスなパネライという印象ですが、かつては新鮮と感じる要素があった存在です。
ブラックシールがデビューしたのは2004年なのですが、当時においてラジオミールというシリーズは、パネライの中でも特に高級品という印象でした。
通常モデルとして販売されていたのは基本的に金無垢のみで、ステンレスモデルでも高級ムーブメントが搭載されるなど、内容も実勢価格からも高級感を感じることができました。
そんなラジオミールにおいて、初めてルミノールと同等の内容で登場したのがブラックシールという存在。
デビュー当時より実勢価格は、ラジオミールの中で最も安いという状況でしたが、「高級なシリーズにおける安価なモデル」という意外性が、とても新鮮だったのです。
ヨットマスターロレジウムやフランクミュラーのカサブランカなどと似た存在感だったといえるでしょう。それらに共通するのはやはり「高級なシリーズにおける安価なモデル」という点です。
しかし、そのような印象をブラックシールに対して感じることができたのは、2004年のデビュー当時ぐらい。
なぜなら、このブラックシールをきっかけとしてラジオミールシリーズが脱高級化となったからです。
2005年にはラジオミールベースが発売され、ルミノールと何ら変わらない構成になり、2000年前後に造られたようなデッドストックムーブメントを用いた限定モデルも作られなくなったのです。
けれども市場では、ブラックシールをはじめとする脱高級ラジオミールが受け入れられ、かつてのラジオミールの事情を知っている人は少なくなりました。
そのため、2005年以降に出たラジオミールは「新しいモデル」としてそこそこ高く、2014年頃まではブラックシールのPAM00380も40万円以上という中古価格。
PAM00380は、2004年にデビューしたブラックシールの「OPロゴ」有りバージョンとして2011年にデビュー。
ルミノールベースの「OPロゴ」PAM00000に対応するラジオミールといった存在ですが、現在はどちらのOPロゴモデルも安値な状況です。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2014年6月 の安値(ヤフオク) |
2017年11月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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オフィチーネパネライ
ラジオミール PAM00380 |
中古 | 3年 5ヶ月 |
¥428,000 | ¥344,700 | -83,300 | 80.54% |
PAM00000がデビューしたのは2004年ですが、それまでOPロゴ有りのモデルは希少とされ高値傾向でした。
その理由こそ、プレヴァンドーム時代などにのみ存在していたからなのですが、「OPロゴ」モデルとして復活したモデルは不人気傾向の模様です。
ミルガウスなどでもそうですが、「かつて存在した仕様」は、それまで幻扱いされていても復活するとそこまで評価されない傾向があります。
そしてPAM00380について驚くのは、現在ラジオミールの中で最も安いという点。
ラジオミールブラックシールOPロゴのPAM00380は、なんと2014年から8万円以上も安くなっているのです。