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現在相場考察

グリッドの最終モデル、カルティエパシャ38mm W31059H3

2017年11月25日更新
カルティエのパシャW31059H3について斉藤由貴生が執筆。本記事では2016年9月の安値(楽天)と2017年11月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。この1年2ヶ月での変動は¥72,800だった。

パシャ38mm W31059H3についての考察(2017年11月)

パシャ38mmは第一次腕時計ブームだった2000年前後に現行として存在した、カルティエの上級に位置するモデル。

その頃サブマリーナ16610などの新品実勢価格が30万円台後半でしたが、パシャ38mmはクロノグラフが約60万円、3針モデルでも45万円前後という水準。

その頃の45万円水準というと、ブレゲのトランスアトランティック(革ベルト)やジャガールクルトマスタージオグラフィークなどが購入可能な額であり、まさに高級な時計にふさわしい価格帯でした。

そのため、パシャ38mmはリーマンショック後でもクロノグラフが青サブと同水準であるというように、高値水準を維持。

しかし、3針モデルについてはリーマンショック後に安値となり、それ以前では見たことのない相場となったのです。

その頃までパシャ38mmの中古相場における序列は、

本記事で参考とした中古腕時計

※広告が含まれる場合があります
3針<3針グリッド<GMTパワーリザーブ<クロノグラフ

という並び。

けれども最近その序列に異変が起こっており、3針モデルがとても評価されている状況

中でもグリッドの人気が高く、特に後期のドーム型グリッドW31059H3は現在30万円台後半という水準。

逆にクロノグラフは安くなっており、現在30万円を切る個体を買う難易度は低い状況です。

しかし、それでも高い3針モデルのほうが売れてる様子であり、この1ヶ月の間に30万円台後半のドーム型グリッドの個体が複数売れてしまっています。

本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2016年9月
の安値(楽天)
2017年11月
の安値(楽天)
変動額 残価率
カルティエ
パシャ38mm
W31059H3
中古 1年
2ヶ月
¥307,000 ¥379,800 72,800 123.71%

後期のドーム型(W31059H3)は2002年頃にデビューしたモデルなのですが、2005年にはパシャ42mmにバトンタッチしたという事情もあり数が少ない傾向です。

  • パシャ38mmの独特の高級感
  • グリッドというパシャならではの特徴
  • ドーム型という新しさ
  • という要素を備えるため、人気が高いのだと思います。

    ちなみにこの後期型グリッドモデルは2002年頃にデビューしたため、文字盤下のSWISS部分は『L』が正解

    たまに『T』のモノがありますが、グリッドのみ後期のドーム型に付け替えたと思われるため、そちらは安く買うことができます。

    とはいえ、フラットな形状の前期型グリッド(W31040H3)でも人気が高く、GMTパワーリザーブやクロノグラフよりも相場が高い状況です。

    ちなみに、グリッドなしの3針は程度の良い個体が少なくなっており、相場を判断するのが難しい状況ですが、そちらも以前より高くなっている傾向だと感じます。

    グリッド人気が高い理由は、パシャを象徴する要素かつ、他の時計にはないという独特さを備えているからであり、パシャ42mm以降ではグリッドモデルが廃止されているという点も大きいでしょう。

    97年頃にあったパシャCのサーモンピンクとグレー文字盤のように、かつては文字盤のデザインアイコンとしても『グリッド』という要素が用いられていました。

    けれども、2000年代半ばから男性用パシャにはグリッドという要素がなくなったため、その最終世代を買おうと思った場合このドーム型グリッドのパシャ38mmとなるのです。

    この記事の執筆者
    斉藤由貴生
    腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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