パシャ38mmは第一次腕時計ブームだった2000年前後に現行として存在した、カルティエの上級に位置するモデル。
その頃サブマリーナ16610などの新品実勢価格が30万円台後半でしたが、パシャ38mmはクロノグラフが約60万円、3針モデルでも45万円前後という水準。
その頃の45万円水準というと、ブレゲのトランスアトランティック(革ベルト)やジャガールクルトのマスタージオグラフィークなどが購入可能な額であり、まさに高級な時計にふさわしい価格帯でした。
そのため、パシャ38mmはリーマンショック後でもクロノグラフが青サブと同水準であるというように、高値水準を維持。
しかし、3針モデルについてはリーマンショック後に安値となり、それ以前では見たことのない相場となったのです。
その頃までパシャ38mmの中古相場における序列は、
本記事で参考とした中古腕時計
3針<3針グリッド<GMTパワーリザーブ<クロノグラフ |
という並び。
けれども最近その序列に異変が起こっており、3針モデルがとても評価されている状況。
中でもグリッドの人気が高く、特に後期のドーム型グリッドのW31059H3は現在30万円台後半という水準。
逆にクロノグラフは安くなっており、現在30万円を切る個体を買う難易度は低い状況です。
しかし、それでも高い3針モデルのほうが売れてる様子であり、この1ヶ月の間に30万円台後半のドーム型グリッドの個体が複数売れてしまっています。
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年9月 の安値(楽天) |
2017年11月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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カルティエ
パシャ38mm W31059H3 |
中古 | 1年 2ヶ月 |
¥307,000 | ¥379,800 | 72,800 | 123.71% |
後期のドーム型(W31059H3)は2002年頃にデビューしたモデルなのですが、2005年にはパシャ42mmにバトンタッチしたという事情もあり数が少ない傾向です。
という要素を備えるため、人気が高いのだと思います。
ちなみにこの後期型グリッドモデルは2002年頃にデビューしたため、文字盤下のSWISS部分は『L』が正解。
たまに『T』のモノがありますが、グリッドのみ後期のドーム型に付け替えたと思われるため、そちらは安く買うことができます。
とはいえ、フラットな形状の前期型グリッド(W31040H3)でも人気が高く、GMTパワーリザーブやクロノグラフよりも相場が高い状況です。
ちなみに、グリッドなしの3針は程度の良い個体が少なくなっており、相場を判断するのが難しい状況ですが、そちらも以前より高くなっている傾向だと感じます。
グリッド人気が高い理由は、パシャを象徴する要素かつ、他の時計にはないという独特さを備えているからであり、パシャ42mm以降ではグリッドモデルが廃止されているという点も大きいでしょう。
97年頃にあったパシャCのサーモンピンクとグレー文字盤のように、かつては文字盤のデザインアイコンとしても『グリッド』という要素が用いられていました。
けれども、2000年代半ばから男性用パシャにはグリッドという要素がなくなったため、その最終世代を買おうと思った場合このドーム型グリッドのパシャ38mmとなるのです。