回転ベゼルを備えるパシャのクロノグラフといえば、フレデリックピゲを搭載したパシャ38mmが有名です。
パシャ38mmクロノグラフの定価は100万円以上という水準であり、2000年頃の新品実勢価格も60万円近い価格でした。そのため、腕時計が全体的に安かった2010年頃でも30万円台後半という相場だったのですが、今では30万円以下で売られています。
しかし、パシャのクロノグラフにはもっと高いモノが存在します。
それが2005年頃から登場した男性用パシャの最終世代モデルであり、特にパシャ42mmのクロノグラフは現在中古が約60万円という水準。
パシャ42mmは2005年にパシャ38mmの後継モデルとして登場した高級モデルであり、搭載するムーブメントがジャガールクルトベースという内容です。
それに対して2006年に登場したパシャシータイマーにはETAベースのムーブメントが搭載されており、よりカジュアルなパシャとなっています。
パシャシリーズには、それまで男性用カジュアルモデルというモノが存在せず、パシャシータイマーはそのポジションを担う初のモデルだったのですが、回転ベゼルのデザインの印象からパシャ38mmの後継モデルと勘違いされる傾向もあります。
ですから、本来高級なパシャ38mmより、パシャシータイマーのほうが相場が高めというのはおかしな現象とも取れるのです。
パシャ38mmの後継モデルはパシャ42mmですから、42mmと比べて38mmが安いというのは自然ともとれます。
しかし、高級な38mmよりシータイマーのほうが高いという現象には少し違和感を感じるところです。
よって、クロノグラフのパシャシータイマーは高い、と言いたいところなのですが、実はそう取れない要素も存在。
それは、3針モデルにおいてパシャシータイマーがパシャ38mmより安いという点です。
つまり、3針モデルにおいては安い順に
本記事で参考とした中古腕時計
パシャシータイマー ⇒ パシャ38mm ⇒ パシャ42mm |
という順になり、
クロノグラフでは、
パシャ38mm ⇒ パシャシータイマー ⇒ パシャ42mm |
となるのです。
ですからこれは、パシャシータイマーのクロノグラフに対して一定の評価があるとも取れる現象です。
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2012年5月 の安値(ヤフオク) |
2017年11月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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カルティエ
パシャシータイマー クロノグラフ W31089M7 |
中古 | 5年 6ヶ月 |
¥468,000 | ¥397,440 | -70,560 | 84.92% |
パシャシータイマーに搭載されるムーブメントはキャリバー8630というモノなのですが、これはETA7753をベースとしたもの。
ETA(バルジュー)7750といえば、有名なクロノグラフムーブメントですが、7753とはスモールセコンドの位置が違います。
7750はチュードルクロノタイムやスピードマスターデイトなどのように縦に並ぶ三つ目が特徴的。それに対して7753はデイトナなどオーソドックスなクロノグラフに準じた三つ目の並びとなっています。
オメガの場合、ムーブメントが価格序列に大きな影響を及ぼしますが、フレデリックピゲは7750の2段階上という高級品。
よって、ムーブメントだけを考慮するとパシャ38mmのほうがお買い得となるのですが、パシャシータイマーは43mmと大きく、さらに新しいことから、人気があるのだと予測できます。
そして、2012年時点と比較してパシャ38mmクロノグラフもシータイマーも値下がり傾向であることに変わりはありません。
2012年でもパシャシータイマーはパシャ38mmより10万円程度高いため、現在相場においてパシャ38mmより高いというのは、特別おかしいというわけではないのです。