ゼニスの「エリート」といえば、高級機時代のラジオミールに搭載され他の機械と差別化されていたというように、とても高級なムーブメントという印象です。
とはいえ、ゼニスにおいてエリートが必ずしも高級機のみに搭載されるということもなく、比較的安価で販売されたモデルにも搭載されることもあります。
2010年にデビューした03.2010.681は、まさに入門用のゼニスというキャラクターにふさわしい存在です。
その頃はリーマンショックの影響により数多くの中古時計が安くなっていた時期ですが、新品においては必ずしもその例が当てはまるわけではありません。
リーマンショック後において新品定価が一気に安くなるということはなく、安くなった中古に対して価格差を感じた時代でした。
あまりにも高いと感じられるとユーザーの腕時計離れとなってしまいますし、そのことはブランド側も把握していたのではないでしょうか。
ただ、それまでラインナップしていた時計の定価を安くするということは困難。一方、定価を安く設定した新しいモデルの登場は可能です。
ですからこのエリートは、リーマンショックという背景があったからこそ開発されたのだと推測できます。
実際このエリート03.2010.681は、
であるにもかかわらず、定価が30万円台前半という水準。
ですから、高級腕時計ユーザーを拡大するための戦略的なモデルとも取れる存在であるのです。
シンプルな見た目とゼニスというブランド、さらにエリートという機械の印象から定価は60万円台でも不思議ではないように見えるこの03.2010.681。
当時30万円台前半という定価だったため、新品実勢価格は更に安く2011年の新品実勢価格(3社平均)は23万6500円だったのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2014年6月 の安値(ヤフオク) |
2017年11月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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ゼニス
エリート 03.2010.681/01.C493 |
中古 | 3年 5ヶ月 |
¥264,000 | ¥315,000 | 51,000 | 119.32% |
2014年時点では、2011年新品より高い水準となっていますが、2017年ではそれが更に高くなっています。
モダンでシンプルなデザインは高感度が高い印象ですし、裏スケ仕様のためエリートのムーブメントを眺めることもできます。
ローターには「マニュファクチュール」と誇らしげに書いてありますが、
で定価30万円台前半とは、まさに「コスパの高いモデル」として評価される内容です。
そしてこれだけ良い要素があるため、過去の新品価格より現在の中古相場のほうが高く、さらには2014年より2017年では5万円程度高くなっているという状況。
これだけ優秀なモデルですから、この値動きは納得できる現象だと感じます。