パテックフィリップの最もオーソドックスなモデルである96シリーズ。
2000年前後の第一次腕時計ブームの際、現行だったのは3796でメンズでも30mmというサイズでした。
30mmというサイズは、パテックフィリップという雲上ブランドの特別感を感じるには個性の1つとして良く作用するかもしれませんが、多くのユーザーが選択するには小さいと感じるサイズだったと思います。
また、2002年からパネライが大ブームとなり、それに影響され数多くの腕時計が拡大する中、2003年まで30mmというサイズだった3796はそれまでより更に小さく見えていたのです。
そして2004年、ついに3796はモデルチェンジされ5196がデビュー。
ケースサイズは一気に7mm大きくなり、デビュー当初は大きくなりすぎと思った方もいるでしょう。
実際、37mmというとスポーツタイプであるアクアノートのラージサイズ(38mm)に匹敵するため、「大きすぎ」という感想になっても不思議ではありません。
しかし、2004年から13年経った今となってはこのサイズはとても普通に見え「大きい」という印象ではありません。
96シリーズは、96、3769とモデルチェンジのスパンが長いという傾向がありますから、その後継モデルである5196も将来を見据えて一気に大きくした可能性があります。
実際、今5196のサイズは丁度良く見えるため2004年に一気に7mm大きくしたのは正解だったといえるでしょう。
このように長い年月において需要を獲得できるモデルは、値上がりにおいてもよく作用する傾向があり、実際10年で5169の相場は1.5倍程度になっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2007年夏頃の安値(タイムトンネル) | 2017年12月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
カラトラバ 5196G-001 |
中古 | 10 | ¥1,050,000 | ¥1,598,400 | 548,400 | 152.23% |
先日、筆者の友人が銀座の老舗正規店で5196を買ったと報告してきましたが、彼は特に時計に詳しいということもなくこの5196を選んだ模様。
その友人に会った際、カジュアルな格好だったのにもかかわらず5196がとても良く似合っており、フォーマルモデルでありながら幅広いコーディネートに対応できる5196の凄さを感じた次第です。
5196は正規店であれば大概の店舗がショーケースに置いてあるというように、決して珍しいモデルではありません。
しかし、そのオーソドックスな普遍性が価値を生み出さないということはなく、むしろその普遍性こそが良い要素。
よって5196は、10年できちんと1.5倍高くなっているのです。