パテックフィリップ初のラバーベルトモデルとして1997年に登場したアクアノート。
登場した際は33mmのミディアムサイズ(5060A)のみでしたが、翌1998年からは裏スケ仕様になると同時に38mmのラージサイズが追加されています。
ほぼ同時期に、ノーチラスにもジャンボサイズが十数年ぶりに復活しましたが、当時のノーチラスは33mmの3800/1Aがメインモデル。ジャンボサイズのノーチラスは独特な機構のパワーリザーブインジケーターを搭載した特殊なモデルしかありませんでした。
そのため、3針モデルの大きなサイズという選択肢が欲しければ、自然とアクアノートになったかと思います。
また、当時のノーチラスは今より相当特殊なモデルという印象で、“80年代からモデルチェンジしていない古臭いモデル”という見方もありました。
味の濃すぎるノーチラスに対して、ロレックスの延長線という感覚で楽しめるアクアノート。
90年代後半といえば、ドラマの効果でエクスプローラーの14270がプレミア価格になっていた時期ですが、エクスプローラーの上位互換ともいえる存在です。
当時、エクスプローラーは高いときで約60万円という新品価格。それに対してアクアノートの5065/1Aは80万円台で新品が入手可能だったため、上位互換としてまっとうな価格帯に位置していたのです。
しかしながら、その頃アクアノートを選ぶ人はほぼいなく、80万円台であったにもかかわらず誰もが見向きもしませんでした。
そんなアクアノートは、デビューからちょうど20年経った今、なんと当時の定価を100万円近く上回る中古相場となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年3月 の安値(楽天) |
2018年1月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
アクアノート 5065/1A |
中古 | 0年 10ヶ月 |
¥1,780,000 | ¥2,373,840 | 593,840 | 133.36% |
2017年には青文字盤ノーチラスの値上がりが目立ちましたが、その一方でアクアノートの値上がりは地味ともいえる状況でした。
特に第二世代の5167系は2017年に値上がりしたものの、近年で最も高かった2014年の水準に回復したという状況にすぎません。
それに対して第一世代の5065/1Aの現在相場である230万円台後半という水準は、2014年頃よりも高いといえるため過去最高価格の可能性があります。
5065/1Aはかつて中古60万円台だったこともある時計です。そしてその時期、数多くのヴィンテージロレックスが「かつて不人気だったのに値上がり現象」となっていました。
当時、タイムマシーンがあれば過去に戻って不人気の4桁スポーツロレックスを買いたいと思った方はいるでしょう。筆者もその一人です。
けれどもその時代において、実はこのアクアノートのように値上がり可能性を秘めたモデルがあったのです。
実際この時計はデビューから20年後に定価を100万円近く上回るということになっています。
そしてその値動きは20年という長期間だけでなく、2017年3月と2018年1月という短期間でも約59万円変化したように、「高くなった」と油断していてもそこから更に大きく値上がりするということもあるのです。