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現在相場考察

新しい世代のパテックフィリップ、カラトラバ6000G

2018年2月7日更新
パテックフィリップのカラトラバについて斉藤由貴生が執筆。本記事では2009年4月の安値(ヤフオク)と2018年2月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。この8年10ヶ月での変動は¥597,300だった。

カラトラバ 6000Gについての考察(2018年2月)

2005年に登場したカラトラバ6000Gは、1992年頃に登場した5000Gの後継といえるモデルです。

6000G5000Gと同じ雰囲気の文字盤デザインで、搭載するムーブメントもキャリバー240と同様かつケースデザインも5000と似た印象です

6000における大きな違いはポインターデイトが付くという点とケースサイズが大型化されたという点。

5000G33mmだったのに対し、6000G37mmとなっています。

ポインターデイトという要素はパテックフィリップではあまり採用されてらず、2005年当時の腕時計においても採用事例が少ないメカニズムでした。

当時において「ポインターデイト」といえば、オメガスピードマスターのトリプルカレンダーという印象が強かったと思います。ちなみに2000年代前半においてトリプルカレンダーは10万円台で購入可能でしたから、言うまでもなく6000Gとは価格のかけ離れた時計です。

6000Gロレックスでいう6桁リファレンスに当たる世代の時計で、ノーチラス5711などと同世代のモデル。5000Gロレックス5桁世代に当たり、ノーチラス3800と同世代という印象です。

とはいえ、ノーチラスのデビューは1982年で5000Gのデビューは1992年頃。完全に時期が一致するわけではありません。ですが、90年代後半の第一次腕時計ブームの時代に現行だった5桁世代と、その後の新しい時代における6桁世代という分け方はとても分かりやすいと感じます。

最近ロレックスでは状況が変わってきましたが、パテックフィリップの場合、基本的には5桁世代相当より6桁世代相当の方が高い傾向です。

実際、6000Gの過去価格を見ても現在価格を見ても明らかに5000Gより高く、パテックフィリップにおいて「20年程のヴィンテージよりも新世代のほうが高い」ということを示しているようにも感じます。

とはいえ5000G6000Gどちらも2009年頃と比べて数十万円単位の値上がり状態であるため、仮に2009年頃5000G6000Gを迷った場合「どちらを買っても正解だった」ともいえるでしょう。

本記事で参考とした中古腕時計

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本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2009年4月
の安値(ヤフオク)
2018年2月
の安値(楽天)
変動額 残価率
パテックフィリップ
カラトラバ
6000G
中古 8年
10ヶ月
¥1,400,700 ¥1,998,000 597,300 142.64%

パテックフィリップにおいて6桁世代相当より5桁世代相当のほうが安いという理由は、時計本体だけを見ても分からないため、その周辺を取り巻く環境や時代の変遷を考察する必要があります。

ややこしい話なのですが、ロレックスの5桁世代に相当するパテックフィリップは、現行だった時期はロレックス5桁と同一でもキャラクター的には4桁ロレックスと同一という見方もできるのです。

2000年代前半までパテックフィリップ(5桁世代相当)は「雲上」と言われていたものの、多くの人にとって購入の選択対象ではありませんでした。

ある意味「リアル雲上」とも表現できるブランドだったといえますが、言い方を変えると「マニア向け」とも表現できるかもしれません。

一方、2005年頃からのパテックフィリップ(6桁世代相当)は、20代や30代というような若いリッチ層でも顧客となるような存在であり、「マニア」から「マス」に変化しています。

実際、筆者の周りを見ていても、メディアを見ていても、かつてではパテックフィリップに興味を持たなかったような30歳前後のヤングリッチ層にパテックフィリップが浸透している様子があります。

ですから、5桁世代相当と6桁世代相当ではキャラクターが異なり、結果的に相場も違うのでしょう。

ではなぜ、キャラクター的にはロレックス4桁世代ともいえる2000年代前半以前のマニアックなパテックフィリップが、ロレックスのように「アンティーク」「80年代ヴィンテージ」というような評価を受けないのでしょうか。

おそらくそれは、まだ90年代パテックが「遠い存在」となっていないからでしょう。

ロレックスのように「ドーム型プラ風防」や「フチなし」という分かりやすい要素があった場合、『そんなモノがあったのか』という意外性を感じることができます。

しかしながら、2000年代前半までに現行だった3000番代や5000番代のパテックフィリップからは、そのような「意外性」を強く感じることができず「遠い存在」という文脈に至らないのだと思います。

とはいえ、5桁世代相当のパテックフィリップに魅力がないかというとそうではなく、その年代でしか味わえない要素も存在します。

そして、その良い要素をうまく表現できる文脈が見つかれば、5桁世代相当のパテックフィリップロレックス4桁のような評価を受けるのかもしれません。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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