パテックフィリップといえばどんなに安い中古でも100万円ぐらいはする、というイメージがありますが、中には50万円台で売られているモノも存在。
それらはレディースサイズであったり、古めのクオーツであるといったように、同じパテックフィリップでも少しキャラクターが違うという印象もあるかと思います。
そんな50万円台で購入可能なパテックフィリップという存在に対して、関心を持てないという人が多くいるのではないでしょうか。
しかし、50万円台パテックフィリップの中でもひときわ輝くモデルが存在。
その存在こそゴールデンエリプスの手巻きモデルであり、名機とも言われるキャリバー215搭載モデルでありながら、現在55万円で入手可能です。
この3978が登場したのは1980年代後半のことですが、同時期のカラトラバ3796は現在90万円以上という水準です。
ですから、同時期に製造された同じ構成のカラトラバより40万円近く安く、お得感があるといえます。
しかし、ゴールデンエリプスに対していえるのはそのお得感が全てではありません。
この独特な個性を持つゴールデンエリプスこそ、ノーチラスに匹敵する濃いキャラクター性であるのです。
そして、一見古臭くも見えてしまうけれど、見ているうちにたまらない魅力を感じてくるというのも、ノーチラスと同様だと感じます。
本記事で参考とした中古腕時計
|
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2011年1月 の安値(ヤフオク) |
2018年2月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
ゴールデンエリプス 3978 |
中古 | 7年 1ヶ月 |
¥388,000 | ¥550,000 | 162,000 | 141.75% |
現在パテックフィリップの中で安く買えるという印象の3978ですが、2011年には更に安く売られており、「安い」という印象がある割には立派に値上がりしているという側面もあるモデルです。
ちなみに、2011年1月の価格は相場とかけ離れた個人売買というような事例ではなく、法人が設定した価格です。
ゴールデンエリプスといえば“2針の青文字盤”という印象がありますが、この3978は“白文字盤ローマン+スモセコ”という内容。
ノーチラスで例えるならば、90年代に存在した3800の黒文字盤に相当するという印象です。
この時計、写真では伝わりにくいのですが、実物はとても高級感があり、特に竜頭を回した際の「カチッ」という感じは、すごく上質だと思わせられます。
大きさは今の基準では小さいともいえますが、個性的な形であるエリプスは、本体が小さくてもとても大きい存在感があると感じます。小さいことは、普段使いにおいてもつけ心地が良いという高価をもたらす可能性があります。
つまり、
というように、「普遍的」と「個性的」という共存が難しい要素がうまくまとめられた1本であると感じます。
そして、良い内容であるのにもかかわらず、55万円で買うことができる。
この時計こそ、「通の1本」といえるのではないでしょうか。