パテックフィリップ5054は、ムーンフェイズ、スモールセコンド、パワーリザーブインジケーターが左右非対称に配置されたモデル。同時期に、これと同じ構成のモデルは他に2種類あり、モダンデザインな5055とブレスレットの5085が存在します。
今となっては左右非対称な見た目はノーチラスという印象ですが、ノーチラスが登場する2005年以前において、この構成は5054という印象が強かったように思います。
5054というモデルは、3兄弟の中で最も高級な位置づけとなっており、プラチナモデルが設定されたり、開閉式の裏蓋であるなど高級感を漂わせる内容となっています。
当時の新品実勢価格はステンレスの5085/1Aより高いのはもちろん、5055Gより5045Gのほうが30万円程度高いといった様子でした。
そして5054Gが新品で売られていた時代から10年以上経った今、いったい5054Gはどのような価格帯となっているのでしょうか。
現在の5054Gは、確認できる範囲で237万3840円から263万円という水準。ボトム価格との比較でも、2002年の新品実勢価格と比較して約45万円も高くなっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2002年春頃の新品実勢価格(2社平均) | 2018年2月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
コンプリケーション 5054G |
新品 | 16 | ¥1,918,875 | ¥2,373,840 | 454,965 | 123.71% |
2002年当時の新品実勢価格は2社の平均値ですが、各々の価格に大きな乖離はなく、同じような価格といえる水準です。
現在の感覚だと豪華なパテックフィリップのコンプリケーションモデルが200万円以下という様子は「とても安い」と感じてしまいますが、当時その価格で売られている5054Gに対して「安い」という感覚はありません。
ですから、当時この時計を買った方がいたとしても値上がりするなんて夢にも思わなかったのではないでしょうか。
この5054Gは立派な値上がりを果たしたため、2002年においては買っても良い時計だったのです。
とはいえ、同時期における5085/1Aの新品実勢価格は100万円台前半。5085/1Aは現在205万円から223万円という水準に位置しているため、値上がり額は5085/1Aのほうが優秀です。
5085/1Aと比較すると値上がり額は負けてしまうものの、5054Gも立派な値上がりに変わりないため、どちらを買っても正解といえるのではないでしょうか。
また、現在の選択肢としては、かつて実勢価格が高かった5054Gがお得感があるといえます。
実際、5054Gは上級モデルにふさわしい凝った造り。ラグ部分がカールしていたり、裏蓋を開けるときれいな機械を眺めることができるなど、魅力的な要素が多々存在します。
それを考慮すると、過去価格と比較して高くなっているものの、今の相場において同時期のパテックフィリップと比較すると驚くほど高くないという見方もできるため、なにかと興味深い存在だといえるでしょう。