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秋篠宮家の公用車(三菱車)から学ぶ、新しい消費の仕方

2016年3月26日更新

皇室の方々がトヨタセンチュリーに載る姿をテレビでよく見かけますが、秋篠宮家は三菱車がお好き

この動画から確認できる通り、秋篠宮家だけ三菱車です。



秋篠宮殿下と紀子さまがお乗りのが、
・初代ディグニティ(S43A)

眞子さまと佳子さまがお乗りなのが、
・二代目ディグニティ(BHGY51)

通常新型が出ると“新型と旧型を入れ替える”という形を取るかと思います。

しかし、秋篠宮家の公用車は、

秋篠宮殿下が旧型、眞子さま佳子さまが新型なのです。

秋篠宮殿下は初代ディグニティがお好きなのだと思います。

初代ディグニティが出たのは2000年のこと。

1964年から続く三菱の高級車「デボネア」の後継車として、プラウディア&ディグニティという形でデビューしました。

・プラウディアは普通のセダン。V6エンジンとV8エンジンが用意。
・ディグニティはリムジン。V8エンジンのみを用意。


当初ディグニティは「プラウディアリムジン」として出す予定(社内用資料より)だったのですが、デビュー前に「ディグニティ」という別名になることが決定。

もともとお乗りになっていたデボネアとの入れ替えということでディグニティは秋篠宮家の新しい公用車として採用。

そして、2001年。

ダイムラー傘下になった三菱自動車は、プラウディア&ディグニティの生産終了を余儀なくされます。

そこで、約40年の三菱高級車の歴史が途絶えてしまうわけです。

しかしそれから11年後、たまたまダイムラー傘下ではなくなった三菱はプラウディア&ディグニティを復活させたのです。

ただしその際、自社開発ではなくOEMとしての復活となりました。

新型ディグニティとしてデビューしたのは日産フーガのエンブレムを三菱にかえたもの

ディグニティはフーガのロング版(日本だとシーマ)のエンブレムを三菱にかえたものです。

かつてのデボネアやプラウディアは自動車ファンの間でも一定の人気があったのですが、単なるエンブレム付け替えの新型はファンの間では不評。

筆者も初代プラウディアに7年間乗っていましたがツボな車でした。
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↑奈良の法隆寺前
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↑旧軽井沢上の山中

かねてから三菱重役専用車といわれていたこの車。日産のOEMとなって本当に三菱の重役ぐらいしか乗らない車となってしまったのです。

それが、秋篠宮家での公用車に採用ではありませんか!

しかも、自分がお乗りになるメイン車ではなく、サブ車だった日産フーガ(初代)との入れ替えで採用。

秋篠宮殿下は車に対して相当マニアックなお方だと思います。

こういう選択ができるのも、今の時代ならではです。

これが2000年以前だったら、

「秋篠宮殿下はなんで古い車にお乗りなのか」

という意見が出てくるでしょう。

しかし、誰も殿下が旧型ディグニティに乗り続けていることを気にしていません。

つまり、2000年以降に作られた車って目立った進化をしていないのです。

数年前まで天皇陛下と海外要人の公式車両だったプリンスロイヤルは誰が見ても「昔の車」だとわかりました。

例えば、プリンスロイヤルと、プリンスロイヤルの20年後にデビューした3代目日産プレジデントを比べると違いは一目瞭然です。

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けれども2000年以降にデビューした車は車に詳しくないユーザーからは、古いか新しいかはまずわからないでしょう。

自家用車が定着してから50年近く経ち、そろそろ進化のスピードが遅くなってきた。

だからこそ、消費の仕方が変わろうとしているのかもしれません。

常に新型を選ぶのではなく、時代を問わず良い物を選ぶ。

秋篠宮殿下の公用車からは、そういったことが勉強になります。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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