パテックフィリップノーチラス5711/1A-010の2016年7月と2017年9月の相場を比較した場合、値上がりとなっています。今回はこの事例に基づく考察を行いたいと思います。
ノーチラスの5711/1Aといえば、現在400万円以上は当たり前という相場ですが、意外にも2016年7月の時点では約300万円という価格で手に入る時計でした。
今思うと、2016年7月の約300万円という水準はとても安く「買っておけば良かった」という感想になるかと思います。
しかし、その2016年7月において約300万円という価格はノーチラスの5711/1A-010にとって「安い」と感じる価格ではありませんでした。
なぜなら、ノーチラスの過去実績を考慮すると、約300万円という価格でも「高い」という評価になったからです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年7月 の安値(楽天) |
2017年9月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
ノーチラス 5711/A-010 |
中古 | 1年 2ヶ月 |
¥3,068,000 | ¥3,841,750 | 773,750 | 125.22% |
ノーチラスが「人気の腕時計」というポジションになったのは、2005年前後という時期。
2005年以前において、ノーチラスの新品実勢価格は今では考えられない水準でしたし、さらにその前である2002年頃に至っては新品実勢価格が100万円以下という評価だったのです。
2005年時点におけるノーチラスの新品実勢価格は約130万円程度。それ以前において100万円以下だったことを考えると、その時点でも十分高いと感じられる価格だったのです。
そして2006年、新型となったノーチラスは「ジャンボ+青文字盤」という5711/1Aがデビュー。
その新品実勢価格は200万円近い水準となったため、「一気に高くなった」という印象であり、割高感を感じたかもしれません。
そしてその後2008年春頃までノーチラスは高い相場をキープしていたのですが、2008年のリーマンショックによって相場は下落。そしてその相場は2012年頃まで続いていました。
ちなみに5711/1Aは2011年において約138万円という中古価格で取引されています。
それが2013年のアベノミクス以降に値上がりし、2015年頃には5711/1Aの中古が約300万円という水準に達したのです。
2005年以前のノーチラス相場を見ると2006年の5711/1Aの新品実勢価格はとても高く感じるのに対し、2015年頃の中古相場はそこから100万円も高い水準となっていたのです。
つまり、2006年の高かった時期からリーマンショックによって下落、2015年には反発し2006年以上の水準に達していたというわけです。
ですから、約300万円という中古価格が2016年7月において、「これ以上伸びない」と感じるほど高い水準だったということが分かります。
しかし、2016年7月の約1年後に5711/1A-010は80万円以上も高くなっているのです。
つまり、約300万円という価格は、その相場だった当時は高く感じても、実は「買う」という選択肢が正解だった時期となるわけです。