90年代において、ステンレス製のパテックフィリップは、今とは比較にならないほどメジャーな存在ではありませんでした。
とはいえその当時、スポーツモデル以外のステンレスパテックフィリップが存在します。「スカルプチャー」と「ネプチューン」は、SSブレスレットというスポーツ系に採用される要素を持ちながら、エレガント系のモデルとして異色な存在感を放っていました。
スカルプチャーは、「彫刻」を意味する名の通り、独特なデザインの竜頭とブレスレットが特徴的なモデルです。
よく見かけるのはメンズサイズの黒文字盤ですが、白文字盤やレディスサイズのラインナップも存在。
スカルプチャーは、「ステンレスブレスレット」というパテックフィリップとしては高値となる要素を有していますが、特殊なデザインゆえに近年まで評価されなかった傾向がありました。
例えば、同じキャリバー315のムーブメントを搭載し、ステンレスケースにブレスレットという内容のアクアノートが100万円台後半(200万円近い)という時代でも、スカルプチャーは110万円台で購入可能でした。
スカルプチャーは「かなり変わったモデル」として、110万円台で売られているというのが普通のことだったと思います。
けれども2017年、その常識が変わったのです。スカルプチャーは140万円台となり、それ以前では見たことがないぐらい高くなりました。
とはいえ、スカルプチャーのような特殊なモデルは高くなったと思っても急に安いモノが出てくることがあるかもしれません。
しかし、2017年から継続的にスカルプチャーは高い状態が続いており、高くなった兆しを見せた2017年3月から1年後の今、さらに高くなっている状況となっています。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年3月 の安値(楽天) |
2018年3月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
スカルプチャー 5091/1A |
中古 | 1年 0ヶ月 |
¥1,457,000 | ¥1,695,600 | 238,600 | 116.38% |
スカルプチャーの黒文字盤は、昨年の140万円台から23万円ほど高くなっている状況です。
このような特殊なモデルが1年という期間で20万円以上高くなるというのは珍しく、パテックフィリップに対する人気が高いことを示しているようにも感じます。
スカルプチャーは、好き嫌いが分かれるほど個性的なモデル。かつてノーチラスも「変なモデル」というキャラクター性だった時代がありますが、それとは比べ物にならないほどの個性があります。
例えば、ノーチラスは「好き嫌いが分かれる」というレベルだとするならば、スカルプチャーは「嫌いな人のほうが多い」というと分かりやすいでしょう。もちろん、本当にスカルプチャーを見て嫌いと思う人のほうが多いか、その真相は不明です。
ノーチラスは、嫌われるほどの個性があるからこそ、今日の人気状態となっているのだと考えることができますが、スカルプチャーほどの個性となると理解できる人が少なく、ノーチラスほどの人気状態とはなることがなさそうだともいえます。
では、なぜ最近スカルプチャーは評価されているのかというと、唯一無二の存在だからでしょう。
ノーチラスのように多くの人が欲しがる=需要が高くなるというわけではないものの、世界の時計コレクターからすると、唯一無二なスカルプチャーは、コレクションの1つとして加えたくなる1本。
そして、もともと数が少ないため、ノーチラスほどの需要とならなくても需要>供給となり、高値傾向なのだと推測できます。