パネライには「ルミノール1950」というシリーズがありますが、これはもともと1つのシリーズではありませんでした。
初登場は、2002年に限定モデルとして登場したPAM00127。PAM00127は47mmという大型ケースでしたが、その後2005年には44mmの限定モデルがルミノール1950という名称で登場しています。
では、いつ頃からルミノール1950がシリーズ化されたのかというと、それは2006年のことであるのです。
そしてその際、もう一つ重要なことがありました。
それは、パネライの通常モデルとして自社ムーブメントを初搭載したという点です。
「ルミノール1950」と「自社ムーブメント」という2つの要素はまさに、新世代のパネライにおけるアイコン的存在であるのです。
そして、その幕開けとなったモデルこそ、このPAM00233です。
ちなみに、パネライの自社製ムーブメントは2005年に発表されていますが、その際登場したのはラジオミールの限定モデル。WGやプラチナといった素材であり、高級時代のラジオミールのキャラクターを踏襲したモデルという印象でした。
PAM00233は8日間のパワーリザーブとGMT機能を備えるモデルですが、2005年のWGモデルなどと同様、独特な形状のパワーリザーブインジケーターが印象的で、コンプリケーションモデルといった印象を与えています。
このような形状のパワーリザーブインジケーターは他のブランドでは見たことがなく、自社ムーブメントの良さを存分に生かしている仕掛けだと感じます。
8DAYS、すなわち8日間のパワーリザーブは、今日ではパネライの1つの個性として存在する要素ですが、最初にその機能を実現したのはPAM00233ではありません。
2004年に登場したPAM00190が初代8DAYSモデルなのですが、190番のムーブメントは自社製ではなくジャガールクルトベースとなっています。
JLC搭載パネライという存在は、今となってはレアですが、2006年代後半頃においては自社ムーブメントのPAM00233に高い注目が集まっており、2008年頃でもPAM00233は中古で100万円以上するといった存在でした。
それが、2016年の段階では60万円台後半にまで値下がり傾向となっており、ずいぶん買いやすくなっています。
そしてその時点から約1年半経った今、PAM00233はやや値上がり傾向となり70万円台になっています。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年9月 の安値(楽天) |
2018年3月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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オフィチーネパネライ
ルミノール1950 PAM00233 |
中古 | 1年 6ヶ月 |
¥669,600 | ¥705,000 | 35,400 | 105.29% |
2016年9月という時期は、数多くの腕時計が値下がり傾向となった時期ですが、その時点と比較し3.5万円ほどの値上がりに留まっているPAM00233は、あまり評価されていないという印象になります。
PAM00233は、新世代パネライの幕開けとなったモデルですが、この近代的要素をどのように評価するかは難しいのだと思います。
2000年代前半までのパネライは、プレヴァンドーム時代に近いという点や、レアムーブメント搭載モデルなど、分かりやすい個性があります。
その一方で、新世代のパネライは、従来のモノに対してかなりなアレンジが加えられており、パネライらしくないという評価もできるモデルです。
とはいえ、評価するに値しないというわけでもなく、単純に今の時代において評価が難しいのだと思います。
クルマでも「現行、先代、先々代」の中で「先代」といったように、新しくもなく古くもないモノが評価されない傾向があります。例えば、メルセデスベンツのSLは、現在先々代のR129以前が評価されていますが、先代のR230はあまり評価されていません。また、10年ほど前まではR129が評価されておらず、R107以前が評価されているという状況でした。
よって、もっと時間が経過した時、新世代のパネライがどのように評価されるのか、その答えが分かるのだと思います。