2018年のバーゼルで発表されたジュビリーブレスレットのGMTマスター2。バーゼルでの発表以前、既にロレックスの公式WEBサイトではブレスレットのみの予告がされており、「バックル付きのジュビリー」という点から、多くの方がGMTマスター2の新作だと予測していました。
ただ、ベゼルの色については「青赤」なのか「赤黒」なのか、それとも全く新しい色なのかの予測はバラバラで、結果的にステンレスの「青赤」という王道的なモノが登場するという、ファンにとっては嬉しいニュースとなりました。
2018年バーゼル発表のGMTマスター2 126710BLRO
ステンレスの青赤ベゼルは2007年に生産終了となった16710以来、11年ぶりの復活であり、これはジュビリーブレスレット(GMTマスター2において)も同様です。
現在、青赤ベゼルの16710や16700の中古相場は、他のベゼルカラーより高いという状況であり、とても人気が高い傾向。このような状況であるため、かつて「青赤」という要素が不人気の象徴だったことは、今では『意外』という感想になるでしょう。
そして、同じく「ジュビリーブレスレット」という要素も不人気の代名詞的ものであり、「青赤」以上に人気が無かったといえるでしょう。
しかし、この「ジュビリー」と「青赤」という要素を持つ新作のGMTマスター2は、SNSなどの反応やロレックス公式サイトでの取扱を見ると、注目度の高いモデルだといえます。
世の中に流通するのは今年の8月頃になるため、その頃、もしくは今年の11月頃ぐらいまでは、相場観を掴むことはできません。ただ、それなりの価格になるのではないか、ということはおおよそ予測できます。
さて、2018年のバーゼルにおいてロレックスの代表格はGMTマスター2の126710BLROですが、パテックフィリップにおけるそれは、公式サイトを見るとゴールデンエリプスだといえます。
新作として発表された5738Rは縦39.5mmというサイズであり、2008年に登場したプラチナモデルのローズゴールド版という存在。2005年から現行モデルとして存在していた3738/100は生産終了となり、縦35.6mmサイズは姿を消したことになります。
キャラクター的に、5738Rは3738/100Rなどの後継モデルという印象ですが、用意されたのが”R”のみで、青文字盤の採用が無いというのがキモ。
ゴールデンエリプスの青文字盤といえば、GMTマスター2の「青赤」に相当するアイコンであり、重要な要素です。
ちなみに、3738/100時代において青文字盤の”J”だけは、文字盤プレートがK18製。今回の5738Rのオニキス風な黒文字盤もK18製の文字盤ですが、あえて青文字盤の5738Jを出さなかったのは、2013年においてGMTマスター2に「青赤」が復活しなかったのと同様という印象です。
2018年バーゼル発表のゴールデンエリプス5738R
今回、GMTマスター2にはステンレスの「青赤」が復活したわけですが、3連ブレスレット仕様はありません。
これも興味深い点の1つなのでなのですが、ユーザーからは高評価に捉えられたのではないかと感じます。
ジュビリーブレスレット仕様のみを出すというのは、既に2色ベゼルとして存在する「黒青」の116710BLNRの価値を下げないということに作用するだけでなく、
という要素を生み出す可能性があります。
おそらく、新型126710BLROを見て
と思う人は少ないのでないでしょうか。
かつての不人気要素が覆される
2018年バーゼルの新型モデルから感じられるのは、かつての不人気要素が、現在の人気要素に変化しているという点です。ロレックスブームだった90年代後半頃において、最も否定されていた70年代的デザインが今評価されているといえます。
そしてこれは、流行りが1周したというようなトレンド的なものではなく、腕時計文化の熟成度が高まったのだというように感じます。
70年代的なデザインとして最初に評価されたのはノーチラスですが、これらモデルに共通するのは癖があるという点。食べ物で例えるなら珍味のようなものであり、そういったモノが理解されるには、文化水準がある基準に達している必要があります。
確かに王道的なモノは魅力的ですが、人は「基本」だけではモノ足らず、その次を求めます。ピカソの10代の頃の作品と、その後の作品のような差だといえるでしょう。とはいえ王道的なモノに魅力無いかというとそうではなく、それはそれで基本として評価されています。よって、これまで人気だった王道的デザインと、ノーチラスのような珍味的なモノは今後どちらも人気といったように共存していくのではないかと思います。
ジュビリーのGMTマスターについて
ジュビリーブレスレットのGMTマスターは、2018年のバーゼルで126710BLROが発表される以前から評価されており、それは1675の過去価格を見ても分かります。
2000年頃であれば、ジュビリーと青赤という組み合わせは安値の原因であり、当時の雑誌を見る限り24万円程度で売られていた様子。ちなみに、この時期においてノーチラスの新品が100万円以下で売られていたというのは何度もお伝えしている通りです。
それが、GMTマスター人気が高まった2000年代後半頃から、ジュビリーのGMTマスターは安く評価される傾向ではなくなっています。
そして、近頃ではむしろ3連ブレスレットより高い傾向があるぐらいにまで評価されています。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2015年11月 の安値(ヤフオク) |
2018年3月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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ロレックス
GMTマスター 青赤ベゼル ジュビリーブレスレット 1675 |
中古 | 2年 4ヶ月 |
¥958,000 | ¥1,328,000 | 370,000 | 138.62% |
ジュビリーブレスレットのGMTマスター2は数が少ないため、相場観を掴むのが難し傾向がありますが、ステンレスモデルを見る限りでは3連ブレスレットより高い模様です。
ちなみにコンビモデルでは、ジュビリーの黒ベゼルがGMTマスターとしては安い位置にいるため、そこまで評価されていないといえます。
ステンレスを筆頭にジュビリーブレスレットのGMTマスターシリーズが良いという評価は、新作が出る前からありましたが、126710BLROの登場によりカチッとしたものとなるのではないでしょうか。
よって、「ジュビリーブレスレット」と「青赤」という要素は、今後もGMTマスターシリーズにとって重要な要素として扱われるのではないかと思います。