エクスプローラーといえば、90年代後半におけるロレックスブームを牽引した存在です。
ドラマの主人公が着けたことをきっかけに大人気となってエクスプローラーの14270は、定価を上回るプレミア価格で販売されていました。
高級腕時計が定価以上で販売されるという現象は、今となっては珍しくありませんが、それを多くの人に知らしめたのはエクスプローラーがきっかけといえるかもしれません。90年代後半までは「ただでさえ高い高級腕時計が更に高くなる」という現象は変だと思われたでしょうし、そんなことが起こることすら想像することができなかったでしょう。
しかし、90年代後半頃のエクスプローラーは、明らかに人気がある様子であり、プレミア価格でも仕方がないと思わせるほどの人気ぶりだったのです。
筆者が見た個人的な体験ですが、百貨店に顔が利く人でも入手できなかったり、日本の影響でヨーロッパでも人気になっているから買ったという人もいました。
エクスプローラーは、スポーツロレックスの中で最もシンプルなモデル。ですから、本来の価格はスポーツモデルの中で最も安価に位置します。
けれども、90年代後半頃のエクスプローラーはステンレスモデルではデイトナの次に高いという位置。
本来、エクスプローラーより高級な存在であるGMTマスター2やサブマーナデイトより遥かに高かったのです。
エクスプローラーは2001年に14270から114270にモデルチェンジされましたが、事実上のマイナーチェンジだったということもあり、大きな価格変化はありませんでした。
ただ、2002年は2001年と比較してロレックスなどがやや安くなっていたということもあり、当時の税込換算の2社平均新品価格が41万円台という数値になっています。
とはいえ、それでも他のステンレススポーツより高い状況だったことに違いはありませんでした。
しかし2018年現在において、エクスプローラーというモデルはかつて「大人気だった」ということを感じさせない価格帯となっており、ステンレススポーツの価格帯としても下位に位置しています。
では、いつからそのような現象になっていたのかというと、2007年は既にそうなっていたということが分かります。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2002年6月 の新品実勢価格(2社平均) |
2007年8月 の新品実勢価格(2社平均) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
エクスプローラー 114270 |
新品 | 5年 2ヶ月 |
¥417,270 | ¥348,000 | -69,270 | 83.40% |
エクスプローラー114270は、2002年において新品実勢価格が41万円台だったのが2007年には34万円台となっています。
そして、この2007年という時期において、エクスプローラーはステンレススポーツの価格帯の中で最も安いという位置になっているのです。
2002年において、ステンレススポーツで最も安かったのが、サブマリーナノンデイトでその次に安かったのがGMTマスター2。それが、2007年になると、サブマリーナノンデイトよりもエクスプローラーは安くなっています。
ですから、2007年頃においてエクスプローラーの人気は2000年前後ほど強いものではなくなっていたということが分かります。
2007年といえば、GMTマスター2のSSモデルが6桁リファレンスにモデルチェンジした年で、この時からGMTマスター2が人気モデルへと変化してきました。
つまり、2007年という年において、人気モデルはエクスプローラーからGMTマスター2など他のモデルに変化し始め、それが今でも続いているということになります。