2000年にデビューしたパテックフィリップの5110は、近代的なワールドタイムの第一世代にあたります。
ワールドタイムといえば、最近クロワゾネ文字盤や女性用などラインナップが増えた印象がありますが、5110の時代は比較的シンプルな構成となっていました。
ラインナップされる素材は、YG、WG、RG、プラチナがあったのですが、プラチナ以外については目立った差はなく、専用色の文字盤が与えられたプラチナモデルが特に目立っているという印象。そのため5110Pは、YGなどと比べて“だいぶ高い”という価格帯となっていることが珍しくありませんでした。
プラチナ以外のワールドタイムが150万円前後という水準だった2010年前後という時期において、5110Pは250万円前後という水準だというと分かりやすいかもしれません。このような価格差は、プラチナとYGの差として珍しく無いともいえますが、ワールドタイムの場合は専用色文字盤ということもあり特に印象に残ります。
ただ、プラチナ以外のワールドタイムも、2014年頃においては300万円近い水準となっており、プラチナでなくても十分に高いと感じる水準となっていたのです。
その頃、ワールドタイムの中で特に高かったのはローズゴールドの5110Rですが、RGがYGやWGより高いという状況は今でも変わりないようです。
しかし、RGは2014年以降に大きく値下がりし、特に2017年夏頃には2015年よりも約66万円下落してしまったのです。そういった経緯がある5110Rですが、2018年に入って相場は回復傾向となり、2015年水準に再度戻っており、約321万円というボトム価格になっています。
それに対して5110Jは、現在のボトム価格が約293万円となっており、300万円という水準に達していません。
5110Rより安いボトム価格であることから、お買い得なのか人気がないのか分かりづらい価格といえますが、過去価格と比較すると優秀だということができるかと思います。
ワールドタイムや年次カレンダー、またアクアノートなどパテックフィリップの多くのモデルは2014年頃に高い水準となって以降、2017年まで値下がり傾向といえる状況でした。
それが2018年には値上がり傾向となり、一部モデルが2014年より高くなっているのです。
そして、その例に漏れないのがワールドタイムの5110Jであり、2014年10月より約15万円高くなっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2014年10月 の安値(ヤフオク) |
2018年6月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
ワールドタイム 5110J-001 |
中古 | 3年 8ヶ月 |
¥2,780,000 | ¥2,937,600 | 157,600 | 105.67% |
イエローゴールドという色は、以前はホワイトゴールドより安い傾向がありましたが、最近ロレックスではWGより高いぐらいの相場に位置するYGモデルが珍しくありません。
そのため、YGは最近強いという印象なのですが、パテックフィリップの場合におけるYGの評価はどうなのでしょうか。
このワールドタイムを見る限り、パテックフィリップでもYGは強いという感覚になりますが、強いのであればRGと同水準ぐらいの相場であってほしいとも思います。
ロレックスの場合、エバーローズゴールドは、2000年代半ばに導入された経緯があります。YGと比べると、登場してからそこまで時間が経っていないため、YGより高めに評価されている可能性もあります。
しかし、パテックフィリップの場合は、90年代からYGと同じような扱いでRGが扱われているため、RGの希少さはエバーローズゴールドほど無いといえるのです。