38mmという数値に対して、今では「大きい」と感じないかもしれません。
ただ、かつては「パシャ38mm」といえば最も大きいパシャであり、パシャにおける最高級を担う存在でした。
パシャ38mmにはステンレスから金無垢モデルまで存在しますが、2000年代前半において最も安かったステンレスモデル(ブレスレットタイプ)でも、その実勢価格は40万円台という価格帯。
その時期、サブマリーナの16610は30万円台後半という新品実勢価格でしたから、パシャ38mmがいかに高級なシリーズだったということが分かります。
そんなパシャ38mmに新作として2001年に登場したのが「N950」というシリーズ。
「950」といえば「K18」に対するプラチナの値として有名な値ですが、この「N950」もプラチナを示しています。
ただ、プラチナといっても採用されているのはベゼルの部分であり、ヨットマスターロレジウムに影響された「豪華なステンレスモデル」という存在です。
そんなN950には、プラチナベゼル以外にも特別なポイントが存在するのですが、それは黒文字盤が採用されているという点です。
パシャ38mmの文字盤は基本的には白系がメインで、黒文字盤はN950以外にはほぼ採用がないと思います。
また、N950の黒文字盤ではアラビア数字の部分がアプライド仕様となっていますが、当時のパシャ38mmではアプライド仕様は金無垢モデル以上で、YGコンビでもアプライドではありませんでした。
ですから、N950は文字盤のインデックスに焦点を当てても「特別なモデル」だと感じることができます。
そのせいか、N950はデビュー当初から近年までパシャ38mmの中で「なかなか高い」という価格帯に位置。
N950には、3針グリッド、GMTパワリザ、クロノグラフの3つがあるのですが、いずれもSSブレスレットモデルより10万円近く高いという傾向がありました。
パシャ38mmには革ベルトとブレスレットタイプが両方用意されている傾向がありますが、ブレスレットのほうが価格は高め。N950には革ベルトタイプしか存在しないのですが、革ベルトのN950とブレスレットのSSを比較しても10万円程度の価格差があった状況でした。
しかし、そのように人気の高かったN950という存在は、近年値下がり傾向が続いています。
2016年時点では2009年より約9万円安くなっている状況。
そして、2016年から2年経った2018年の今、さらに約6万円安くなっている様子です。
本記事で参考とした中古腕時計
|
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年5月 の安値(楽天) |
2018年6月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
カルティエ
パシャ38mm W3105155 |
中古 | 2年 1ヶ月 |
¥402,000 | ¥338,000 | -64,000 | 84.08% |
2009年といえば、ロレックスやパテックフィリップなど多くの時計が安かった時代で、中古のロレックスデイトナの16520は80万円台、青サブ16613は30万円台だった時代です。
そのような2009年において、なんとこのN950のクロノグラフは約49万円という中古価格であり、かなり強いモデルだったことが分かります。
そして、安くなった印象の2016年でも依然として40万円台というボトム価格はキープしていたのですが、2018年の今となっては30万円台前半で入手可能となってしまいました。
ちなみに、このN950クロノグラフと見た目がそっくりなクリスマス限定モデルがありますが、ベゼルがSSかつ文字盤が「黒」ではなくダークグレーという差が存在。かつては「安いN950がある」と思っても、よく見るとクリスマス限定モデルだったのですが、今ではN950でも、かつてのクリスマス限定モデル並みの価格帯になっています。
2016年といえば、近年において一時的に値下がりした年という印象もありますが、パシャ38mmのN950は、“安い”という印象の2009年や2016年よりも値下がり状態となっているのです。