パテックフィリップノーチラスのライバルといえば、オーデマピゲのロイヤルオークということは確かです。
しかし、ノーチラス5711/1Aのライバルとなるロイヤルオークはどれか、という問いに対しての答えは明白ではないと言えます。
その理由こそ、ロイヤルオークのラインナップが豊富であるという点なのですが、それらモデルの立ち位置を理解するにもハードルが高いといえます。
ノーチラスの場合、基本的に1つの時代において1サイズしか展開されておらず、
というシンプルな流れになっています。
そして上記のノーチラスにおいて、ライバルとなるロイヤルオークを当てはめようとすると、初代モデル以外については複数のロイヤルオークが該当するという状況になるのです。
つまり、綺麗にライバルとして成り立つのは、「3700/1 対 5402ST」のみ。
ですから、ノーチラス5711/1Aのライバル候補は複数あり、
という4つがそれに該当するといえるのです。
ロイヤルオークのモデルの全体像
ロイヤルオークは3針(2針含む)モデルだけでも多種多様なラインナップが存在するため、全体像を把握するには一度整理しなければなりません。
レギュラーモデルと特別なモデルの違い
ノーチラスの特別な3針モデルといえば、プラチナモデルがそれに該当しますが、ロイヤルオークの場合はステンレスの通常ラインナップにも「特別なモデル」が用意されています。
そのモデルこそ、リファレンス末尾が「2」のモデルであり、初代5402の流れを守り続けている存在です。
搭載されるムーブメントは初代と同じ、JLC920ベースのムーブメントで針も2針仕様となっています。
その一方で、15300STや15400STには自社製ムーブメントが搭載されており、針は3針仕様となっています。
これらモデルが同時に展開されているため、分かりづらい印象となるのですが、15202のように末尾が「2」のモデルは特別なモデルということを理解すると一気に分かりやすくなります。
ちなみに、15300に対して15202ジャンボの定価は70万円ほど高く、明らかに違うという印象になります。また、15202系は流通が少なく実勢価格を把握しづらいという傾向もあります。
デビューした時期
ノーチラス5711/1Aは2006年に登場し、今でも現行として存在するモデルですが、デビュー当初の印象としては「初代3700を彷彿とさせる内容」という感覚がありました。
5711/1A登場まで、ノーチラスのレギュラーモデルは3800/1Aでしたが33mmサイズとなっていました。1997年にジャンボサイズが久々に復活しましたが、その際登場した3710/1Aには青文字盤の採用はありませんし、特殊なパワーリザーブインジケーター付きという内容です。
ただし5711/1Aは、『ジャンボ+青文字盤』という部分は初代に似ているものの、ケースは3ピース構造ですし、針も3針。つまり、ロイヤルオーク15202STのような原理主義なモデルではなく、15300STのようなリベラルなモデルといえます。
ロイヤルオークのデビュー時期
「初代を彷彿とさせる」というキャラクター持つロイヤルオークといえば、15202ST系のモデルとなるわけですが、その15202にも「ジャンボ」と「エクストラシン」の2つがあります。
そして、15202STでも「エクストラシン」は2012年の登場である一方、「ジャンボ」は2001年頃に登場した模様です。
それに対して、15300STの登場は2005年で、15400STの登場は2012年となります。
ですから、デビュー時期が最も5711/1Aに近いのは15300STとなるのです。
15202STをノーチラスに当てはめると
15202系が5711/1Aのライバルという印象がありますが、15202をノーチラスに置き換えるならば「5700/1A」などという存在が適当だと感じます。
5700/1Aなるものは存在していませんが、もしもあったならば、JLC920ベースのムーブメントが搭載され、2針仕様となるでしょう。
このようなモノがもしも出たならば、とんでもない価格になりそうだということが推測できます。
どれが5711/1Aのライバルなのか
以上のことから、5711/1Aのライバルは15300STとするのが最も分かりやすいといえます。
しかし、15300STに対して15400STという存在があることが更に複雑さを強調しているといえます。
15300は39mm、15400は41mmというサイズなのですが、両者は併売されていたわけではなく、15400は15300のマイナーチェンジ版といえる存在なのです。
ですから、5711/1Aのライバルは15300STが最も適当といえるわけですが、15400STもライバルとして成り立つため、「ノーチラス5711/1Aのライバルは15300STと15400ST」ということになるのです。
15300の最近の様子
このように複雑な事情があるため、ロイヤルオークは知名度が高いモデルでありながら、値動きしづらいという傾向がありました。
それが、最近ロイヤルオークには変化の兆しがあり、複数のモデルが短期間で上昇している様子があるのです。
そして、15300STについても最近上昇している様子があり、現在は後継モデルの15400STと同水準に位置している状態となっています。
本記事で参考とした中古腕時計
|
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2010年5月 の安値(ヤフオク) |
2018年7月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オーデマピゲ
ロイヤルオーク 15300ST.OO.1220ST.01 |
中古 | 8年 2ヶ月 |
¥542,857 | ¥1,850,000 | 1,307,143 | 340.79% |
この15300ST.OO.1220ST.01における2010年の約54万円という価格は、今となっては「かなり安い」と感じるかと思います。
2010年当時、15300STは現行モデルだったのですが、雲上スポーツモデルの現行品として50万円台は安いという印象になります。
けれども、2010年の個体は店舗が売っていたモノですし、前年の2009年に購入された個体。
つまり、かなり新しいという条件であるにもかかわらず、50万円台だったのです。ですから、15300STは2010年頃において50万円台というのが当たり前だったといえます。
そして、アベノミクス以降において15300STは120万円程度となったのですが、最近は更に高くなっており、既に180万円台半ばという水準。
実は、この記事を書く際に取り上げようと思った個体は約180万円という価格だったのですが、記事を書いている途中に売れてしまいました。
このような状況を観ると、ロイヤルオークは最近注目度が高くなってると感じます。