1999年の段階から「アンティーク」と呼ばれ、中古相場が80万円程度にまで上昇していたエクスプローラーの1016。
この時計こそ、「腕時計は値上がりする」ということを印象づけた元祖といえる存在で、新品時に20万円程度で普通に買うことのできた存在が、生産終了後の1999年に4倍程度高くなるという状況となっていたのは当時大きなインパクトだったように思います。
その時期において、エクスプローラーの1016はデイトナの4桁リファレンスとともに高いモデルの象徴的な存在だったといえます。最も高かったのはデイトナのポールニューマンですが、それと比べても「高い」というインパクトは同等だったように感じます。
そしてその後も1016は20万円台という以前の価格に戻ることはなく、リーマンショック後という安い時期においても60万円台という水準をキープしていました。
アベノミクス以降においては回復傾向となり、2016年7月においては110万円台という水準まで上昇しています。
2017年に至ってはさらに上昇傾向となり、約128万円という水準まで上昇しました。
では、2018年はどのような状況となっているかというと、2017年からさらに30万円ほど上昇し、約158万円という水準となっています。
短期間での値上がりや、値上がり傾向が続いているという点から1016はかなり優秀な時計と感じます。
しかし、1016は1999年の段階から相対的に「かなり高い」水準であったため、かつての様子を見ると今の値上がりは当たり前ともいえ、優秀でないとも表現できるかと思います。
2018年の今となっては、ノーチラスの値上がりが目立っていますが、1016はそれと比べるとずいぶん地味とも感じるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
|
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年12月 の安値(楽天) |
2018年8月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
エクスプローラー 前期ハック無し 日本ロレックスOH済 1016 |
中古 | 0年 8ヶ月 |
¥1,280,001 | ¥1,580,001 | 300,000 | 123.44% |
かつて相対的に高かった1016の現在の値動きは、他のロレックスと比較しても大きな差があるわけでもありません。
特に、デイトナ16520の2017年における値動きを考慮しても、やはり地味に感じると思います。
なぜ、かつて高かった1016が比較的地味な値動きとなっているのかというと、それは1016の評価が難しいからだと思います。
1016自体の人気度は今でも高いと感じ、相変わらず魅力的な時計だと思います。
また、80年代で生産が終了しているため、1999年よりも生産終了から時間が経っており、希少度は更に高まっているとも感じます。
にもかかわらず、評価が難しいのはなぜかというと、1016は条件によって相場が異なるため、一概に評価できない点があるからです。
得に重要なのは、ロレックスでのメンテナンス履歴の有無。
これは1016に限らず「アンティーク」と呼ばれる4桁スポーツモデルには共通しています。
また、1016には様々な年式がありそれぞれ相場が大きく異なります。
これはデイトナ16520にもある現象で、特に最終年式のP番が高い傾向ですが、P番は16520の中でも数が少なく特殊な存在だといえます。
ただ、デイトナの場合は「P番かそれ以外か」といった判断をすることができるため、相場観がつかみやすいといえます。ちなみに、200タキメーターなどP番以外の高値要素が多々ありますが、それらもP番と同様の区別が可能です。
それに対して、1016はそういった傾向はなく、16520よりも、1つずつ条件が違うという傾向が強い印象。
ですから、相場観が5桁以降のモデルと比べて掴みづらいですし、いざ1016を購入しようと思っても、どれを選べば良いのか分かりづらいといえます。
そのため、以前から記事では同じ条件の個体を比較。そして、そういった条件でも、1016はしっかり値上がり傾向となっているのですが、それでもかつての様子からするとインパクトは弱いといえるのです。
また赤サブなど、1016と同じようにメンテナンス履歴の有無が重要になるアンティークモデルは、1016よりずいぶん高いという点も気になります。
赤サブは、1016と同じ1999年の段階で46万円という水準でした。
1999年の段階では赤サブのほうが、エクスプローラー1016より半値近く安かったにもかかわらず、今となっては1016よりずいぶん高いのです。
そうすると、1016は値上がり傾向でも過去事例を考慮するとお買い得感を感じるため、今の時代においてはなかなか良い選択といえるかもしれません。