ノーチラスにとって青文字盤という存在は、現在人気が高い状況です。
実際、5711/1Aでは青文字盤と白文字盤の価格差は50万円程度でも驚くに値しませんし、コンプリケーションモデルでも青文字盤である5712/1Aは高い水準となっています。
そんなノーチラスにおいて、最も長らく青文字盤として存在していたモデルこそ3800/1Aであり、1982年から2000年代前半までラインナップされていました。
そして、3800/1Aの青文字盤こそ、ノーチラスの相場変遷において、実に興味深い値動きをしている存在といえるのです。
2000年前後という時期において、日本ではロレックスブームといえる現象となっており、当時においてはロレックス以外の時計にも注目が集まっていました。
また、その時期において時計専門誌もいくつか登場し、まさに高級腕時計に対する注目度が高かったといえます。
しかし、その時期においてノーチラスは全く注目されておらず、3800/1Aの中古は青文字盤でも60万円台という水準。新品ですら90万円程度で容易に購入可能だったのです。
また、3800/1Aには青文字盤の他に、白文字盤と黒文字盤がありますが、最も数が多かったのが黒文字盤で、レアという印象が強かったのは白文字盤だったように思います。
その頃青文字盤は、古臭いとも言われ、ただでさえ人気が高くなかったノーチラスの中で注目度の低い存在という印象でした。
2000年代前半までは新品が90万円程度だったノーチラスですが、2000年代中盤頃から値上がりし、2005年頃には中古でも130万円程度でないと購入できなくなっていました。
そしてその後もノーチラスは値上がり傾向となり、アベノミクス以降の2015年頃からは、かつて中古が60万円台だった3800/1Aも200万円台という水準になったのです。
ただ、その時期ノーチラスが高くなったといっても、文字盤における価格差は大きくありませんでした。特に3800/1Aに関しては、時期によって高い文字盤色は異なり、差がほぼないともいえる様子だったといえます。
そんな3800において、青文字盤が高くなったのは、2017年後半からだといえ、他の文字盤が200万円台だったのに対し、青文字盤は300万円前後という水準となっていました。
では、現在における3800/1Aの青文字盤はどのような水準かというと、310万円台なっており、2017年よりも高くなっている様子です。
けれども、今となっては他の文字盤色も300万円台となっているため、3800/1Aにおける青文字盤の評価は、他の文字盤色と大きく違わない状況となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年5月 の安値(楽天) |
2018年9月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
ノーチラス 青文字盤 3800/1A |
中古 | 1年 4ヶ月 |
¥2,331,000 | ¥3,180,000 | 849,000 | 136.42% |
5711/1Aなどでは青文字盤は他の文字盤よりも目立って高いという様子ですが、現在、3800において青文字盤が他の文字盤よりも圧倒的に高い状況でないというのは、3800特有の事情が影響しているのかもしれません。
3800は先のように1982年から2000年代前半まで長期に渡ってラインナップされたモデルですが、その生産期間において何度か大きく変化しているのです。
もっとも特徴的なのは、パテックフィリップ全体がリファレンス定義を変更したという点。
3800のデビュー当時は、3800/1でしたが、その後ステンレスを示す「A」がリファレンスに加わります。
そのため、3800/1Aの青文字盤は、モデルによっては3800/1と記載されており、探しづらいという点があります。
そして、3800においては青文字盤よりも白文字盤や黒文字盤のほうが生産期間が短くレア度が高いという点もあります。
特にマットな黒文字盤に関しては、この世代にしか存在しないデザイン要素であるため、今となっては意外なノーチラスとしてレアに映るかもしれません。
黒文字盤は97年頃に登場しましたが、この時期にデイトのフォントとバックルの形状が変更されており、それが3800としては最も新しい世代となっています。
細かい話をすると、その90年代後半世代において青文字盤は数が少なく、逆にレアともいえるのですが、その文脈が分かりづらいため、80年代頃のモデルと特に価格差がないということもあるのです。
ですから、3800において青文字盤が特に目立って高くないという現象は、このような複雑さがあるからだと思うのですが、いずれにしても3800は全体的に高くなっているため、文字盤色に関係なく優秀な値上がり時計だといえるでしょう。