スポーツロレックスには「アンティーク」と呼ばれ、高値傾向が目立つ世代がありますが、そういった世代に分類されるのは4桁だけでなく、80年代に製造された5桁モデルも含みます。
それら80年代モデルは、一見すると5桁世代と似ているものの、別扱いとなっている傾向があるため、当サイトでは分かりやすく説明するために「80年代ヴィンテージ」と呼んでいます。
このように、80年代に製造されたモデルは分かりづらい傾向がありますが、それは4桁リファレンスでも同様で、文字盤インデックスの「フチあり」と「フチなし」の違いなど相場に影響を及ぼす差があります。
2016年頃においては、こういった4桁リファレンス(フチあり)や、80年代ヴィンテージは基本的に評価されていないといえ、いずれも5桁リファレンスに近い価格帯に位置していた状況でした。
80年代ヴィンテージの中で、その時期唯一例外的に評価されていたのは、16550のアイボリー文字盤ですが、それ以外は特に評価されていなかったように思います。
しかし、そんな80年代世代のスポーツロレックスは、2017年から評価される傾向が目立ち、今では5桁リファレンスと異なる価格帯に位置するモデルが多いといえる状況です。
その先頭を切ったといえるのが、GMTマスター2の初代モデルとして登場した16760で、2016年11月まで60万円台で購入可能だったのが、2017年11月には110万円台でないと購入できなくなっていたのです。
この時計は、2016年11月に約69万円という水準だったのですが、当時は16710の黒赤ベゼルが約60万円という水準。青赤ベゼルに至っては16760とほぼ同じ水準に位置していたのです。
5桁時代の16710も今となっては80万円台後半という水準であるため、当時と比較するとずいぶん値動きしている印象ですが、80年代ヴィンテージの16760はそれより更に値動きしているのです。
画像で見る限り、16760と16710の黒赤ベゼルはほぼ見た目が違いません。
しかし、16710はより製造年数も短く、90年代のようにロレックス人気が目立っていた時期のモデルでないため個体数が比較的少ないといえます。さらにファットレディという愛称も備えた存在。
ですから、16760という存在は見た目が16710に似ていても、文脈的には全く異なるモデルであるといえ、評価されるのは不自然ではないでしょう。
そんな16760の今の水準は、「ずいぶん高くなった」という印象だった2017年11月よりさらに28万円ほど高くなっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年11月 の安値(楽天) |
2018年9月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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ロレックス
GMTマスター2 16760 |
中古 | 0年 10ヶ月 |
¥1,119,000 | ¥1,406,400 | 287,400 | 125.68% |
一度評価されると、その文脈が理解され、さらに評価される傾向になるのかもしれません。
GMTマスターシリーズの人気がとても高い今において、16760が大きく値動きするというのは不思議でないといえますが、他のGMTマスターシリーズと比較するとかなり目立っている様子といえます。
ただ、この16760は、2017年11月以降において、一時期安い個体が出るなど、やや安定しない状況となっており、相場を読みづらい状況となっていました。
レア要素があるとはいえ、2016年まで5桁リファレンスと大きく違わなかったファットレディですが、2017年には大きく値動きしたため、その後安定しなくなるのは仕方がなかったのかもしれません。
それが、2018年9月の今においては、140万円台の個体が多い傾向かつ、ボトム価格も約140万円となっており、分かりやすい状況だといえます。
いずれにしても、ファットレディに限らず、2018年には80年代ヴィンテージの値動きが目立っている印象があるといえる様子です。