腕時計ブームだった2000年前後という時期に注目されていたのはロレックスですが、2001年頃になると「ロレックスの次にステップアップして買う時計」というポジションに注目が集まっていたといえます。
そして、2002年からそのポジションに、パネライとフランクミュラーが当てはまり、腕時計ファンの間で大きな注目度となりました。
フランクミュラーが雲上ブランドに近い印象だったのに対し、パネライはロレックスに近いという印象。
それは、フランクミュラーの定価や実勢価格が高かったことからもいえ、スポーツ系モデルのコンキスタドールに関しては、パテックフィリップアクアノートとほぼ同様の新品実勢価格だったのです。
その一方でパネライは、当時2番や50番の新品実勢価格が定価より高い状況になるなど、ロレックスの人気モデルと同じような現象となっていたのです。
さて、そんなパネライですが、当時のラインナップは今とは異なり、「手巻き44mm⇒自動巻40mmブレスレット⇒ラジオミール」という順に高級になるという趣旨の様子でした。
例えば、2002年の場合、手巻き44mmの111番が約40万円(税別)、自動巻40mmブレス50番が約50万円(税別)という新品実勢価格。
当時のスポーツロレックスは、114270と16570(黒)が40万円台(税別)、その他が30万円台(税別)という価格帯だったため、パネライはロレックスより「やや高い」という価格帯に位置していたのです。
ただ、ラジオミールに関してはそれらモデルとは離れた価格帯に位置しており、かなりな高級感があったといえます。
当時のラジオミールには、WGの62番とRGの103番がありましたが、62番が約93万円(税別)、103番が約85万円(税別)という水準で、どちらも新品実勢価格は税別90万円前後となっていました。
ラジオミールの2000年代前半における価格帯は、雲上スポーツやコンキスタドールとほぼ同等という位置だったわけですが、それらと比較対象になるというよりは、「パネライの最高級」という印象でした。
当時のラジオミールには、デッドストックムーブメントを用いた限定モデルなどが多々存在していたということもあり、ラジオミールという存在は、雲上スポーツより高級という印象があったといえます。
実際筆者は、当時雲上スポーツを買いましたが、それよりもこの103番のほうが高級だと思っていました。
そんなPAM00103という存在ですが、2000年代前半に約60万円という中古価格だったのがその後80万円台となるなど上昇気味となり、この数年は100万円以上という状況となっています。
特に、2016年から2017年にかけては値上がりが目立っていたといえ、2016年8月に約134万円だったのが、2017年4月には約149万円という水準になっています。
2016年8月といえば、多くの腕時計が一時的に安くなった時期という印象があり、パネライも一部モデルが安くなっていた様子です。
ただ、103番など金無垢ラジオミールに関しては、一時的に安くなるというようなことはなかったといえ、2015年などと比較して特に目立った動きはなかったといえます。
しかしこの103番、2017年4月までは140万円台という水準だったのが、8月時点では110万円以下にまで値下がりし、その後大きく相場は変わっていないのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年8月 の安値(楽天) |
2018年9月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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オフィチーネパネライ
ラジオミール PAM00103 |
中古 | 1年 1ヶ月 |
¥1,069,200 | ¥1,077,840 | 8,640 | 100.81% |
この103番にとって重要なのは、2016年8月において130万円台という価格帯だったという点だといえます。
この1年において103番は130万円台という印象はありませんが、2016年や2017年夏以前においては、そのような価格帯に位置していたのです。
現在、103番のボトム価格は約107万円ですが、一つだけがかけ離れて安いというわけではありません。
2017年8月時点で103番は値下がり傾向となっていたわけですが、それから1年経っ2018年現在でも、103番の相場はほぼ変わることなく、相変わらず2016年8月より安いという状況が続いています。
高級時代のラジオミールは、特徴的かつ数も少なめであるため、2016年8月と比較して安くなっているというのは、謎な現象だといえます。
そしてそれが一時的ではなく、1年以上も続いているというのは、とても興味深い現象といえるかと思います。