スピードマスターには様々な種類がありますが、最も安い価格帯に位置するのが自動巻モデルです。
自動巻モデルといっても、「オートマチック」と呼ばれるモデルと「リデュースド」があり、最も廉価に位置するのがリデュースドとなっています。
ちなみに、自動巻モデルの中には例外的にブロードアローという高級モデルがありますが、それらの違いは搭載するムーブメントにあります。
高級なブロードアローがフレデリックピゲを搭載するのに対し、オートマチックは7750、リデュースドはETAの2階建てムーブメントとなっています。
リデュースドは、2011年のとんねるずの買うシリーズで、伊藤アナが約17万円という新品価格で購入した様子が放送されていました。
オメガの新品実勢価格は、2000年代前半頃と比較して2011年頃には高くなっていた印象があるため、当時の17万円という水準は「その時代でも17万円で買えたのか」という感想になります。
リデュースドは、見た目がムーンウォッチに似ているのに実勢価格が安いという点などから、高級腕時計の入門用として購入されるケースも多いかと思います。
また、80年代後半から長らく現行モデルとして存在しているため、生産年も長めです。
そのため、リデュースドは数がとても多く、他のオメガと比較するとそこまで目立った値動きをしない傾向です。
ただ、そんなリデュースドの中で、現在びっくりするほど違う価格帯に位置するモデルがあるのです。
それが、この3510.21という存在です。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2009年8月 の安値(ヤフオク) |
2018年9月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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オメガ
スピードマスター マルイ限定 3510.21 |
中古 | 9年 1ヶ月 |
¥128,000 | ¥591,900 | 463,900 | 462.42% |
この3510.21はマルイ限定として販売されたモデルなのですが、白文字盤に黒色のインダイヤルというデザイン的な特徴が強いモデルです。
そして、その色合いは黒いベゼルとよくマッチしており、デイトナポールニューマンのような魅力的な見た目となっています。
そのため、人気があるというのは分かるのですが、現在の実勢価格は60万円前後という水準に位置しているのは驚きだといえるでしょう。
しかもこれは、1本だけその価格というわけではなく、複数ある3510.21のいずれもがこの価格帯に位置しているのです。
ですから、現在3510.21は、60万円前後という相場であると判断できます。
この時計、2009年においては12.8万円という水準だったため、9年で約46万円の上昇となったことになります。
ちなみに、2013年の時点ではまだ15.9万円という水準だったため、今のような状況でなかったことが分かります。
この世代のスピードマスター(SS)で中古50万円台という価格帯に位置するのは、このリデュースドの他にムーンフェイズのヨーロッパ限定である3575.30ぐらいしか無いといえます。
ムーンフェイズは、ベゼルがWGであるように、高級なスピードマスターというキャラクターであり、中古相場も相対的に高いため、50万円台ということに対する驚きは、このリデュースドより弱めだいえます。
その一方、リデュースドは先のようにスピードマスターにおいて最も廉価という位置であり、実勢価格も安めです。
2009年の時点では、通常モデルのリデュースドは10万円以下という水準だったため、それと比較するとマルイ限定は確かに高い価格帯に位置していましたが、その価格差は今のように何倍というわけではありません。
それが、今では通常モデルである3510.50が約13万円という水準であるのに対し、マルイ限定の3510.21は約59万円。
マルイ限定のほうが通常文字盤に対して4.5倍高く、価格差は約46万円となっているのです。
文字盤の差で約46万円差があるということは、これまでロレックスには見られたものの、オメガでは稀といえます。
まして、それがリデュースドという廉価モデルかつマルイ限定というロレックスの5桁世代に相当する年式で起こったというのは、とても凄い現象といえるでしょう。