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現在相場考察

絶妙なバランスが美しいが、パシャ42mm W31072M7

2018年10月19日更新
カルティエのパシャ42mmW31072M7について斉藤由貴生が執筆。本記事では2017年6月の安値(楽天)と2018年10月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。この1年4ヶ月での変動は¥44,000だった。

パシャ42mm W31072M7についての考察(2018年10月)

腕時計ブームの2000年代において、高級なパシャとして認知されていたパシャ38mmは、2005年にパシャ42mmへとその座を譲ります。

パシャ38mmが回転ベゼル仕様だったのに対し、パシャ42mmは回転ベゼル仕様ではなく、その翌年登場したパシャシータイマーが回転ベゼル仕様だったことから、このパシャ42mmパシャ38mmの後継モデルと認識されないこともあるように感じます。

また、パシャ38mmと比較すると42mmは中古の個体数も少なく、よりマニアックなモデルとなった印象があります。

パシャ42mmは、2000年代中盤という時期に登場したこともあり、当時の「大型化」という流行に沿ってか、前モデルより4mmほど大きくなっています。

ただ、その見た目はパシャ38mmと比較するとかなりシンプルで、大型化されたケースとのバランスを取ったようにも感じます。

大型化されたケースは、それだけで強い特徴となるため、パシャ38mmよりも豪華な要素を盛り込むと、かなり派手な見た目となったことでしょう。

ですから、カルティエは日本の“わびさび”のように、絶妙なバランスをとったといえます。

しかし、その程よいバランスは分かりづらいともいえるため、一見すると“モデルチェンジによるコストダウン”と誤解されても不思議ではありません。

実際、パシャ38mmにあった、

  • ギョーシェ文字盤
  • 裏スケ
  • デイト表示
  • という仕様が省かれているため、そのように思われるのは仕方がない部分もあるでしょう。

    しかし、このパシャ42mmにはジャガールクルトベースのムーブメントが搭載されており、その点からは決してコストダウン的な趣旨で作られたモデルではないということが伝わります。

    パシャ42mmには、3針のシンプルなモデルやクロノグラフなどがラインナップされており、それらはSSやYG、ブレスレットと革ベルトに分かれます。

    その中で最もオーソドックスな存在といえるのが、SSブレスレットの組み合わせなのですが、それに該当するW31072M7というモデルは2017年の段階で30万円台後半という水準でした。

    そして、それから1年少したった今、このパシャ42mmはやや値上がりし、40万円台となっています。

    本記事で参考とした中古腕時計

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    本記事の価格比較

    腕時計 状態 期間 2017年6月
    の安値(楽天)
    2018年10月
    の安値(楽天)
    変動額 残価率
    カルティエ
    パシャ42mm
    W31072M7
    中古 1年
    4ヶ月
    ¥388,000 ¥432,000 44,000 111.34%

    このパシャ42mm、2017年の30万円台後半から、1年少しの期間で値上がりしているため、優秀さを感じることができると思いますが、実はそれ以前の水準を考慮するとそこまで優秀とはいえません。

    このW31072M7は、10年前である2008年10月において45万円という水準だったのですが、その時期はリーマンショック直後の時代

    当時は、ロレックスを始めとするの数多くのモデルが値下がりしており、全体的に安い水準となっていました。ちなみに、当時において45万円という予算では、5桁スポーツロレックスのステンレスだとデイトナ以外、コンビだとサブマリーナやGMTマスター2などが購入可能であり、時期によってはヨットマスターロレジウムも狙えたといえます。

    ですから、その時期の45万円という水準を考慮すると、今の約43万円という水準は、優秀という印象が無いように感じるのです。

    この記事の執筆者
    斉藤由貴生
    腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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