デイトナといえば、高いという印象がありますが、その「高い」と感じる価格帯は年々上がっているといえます。
2000年頃の段階では、当時プレミア価格状態だった16520黒文字盤の100万円以上という新品実勢価格が「高い」と感じたかと思いますが、その基準は4年後に更新されることになるでしょう。
2004年に登場したデイトナといえば、初のWGブレスレットモデルである116509ですが、当時はより高いデイトナとして高い注目度を集めていた状況。その116509の当時の新品実勢価格は300万円程度という水準だったため、「高いデイトナ」の価格帯は3倍になったといえます。
116509といえば、今では同年式のYGモデルである116528より安いという状況となっており、かつて程の人気が感じられない状況ですが、そうなったことに対して影響を与えた可能性があるモデルこそ、次に挙げるあの存在だといえます。
その存在こそ、今まさに「高いデイトナ」の代名詞的存在となっている、プラチナデイトナの116506A。116506は初のプラチナデイトナかつ、アイスブルー文字盤として2013年に登場しましたが、翌年2014年に登場した116506Aのほうが高い注目度となっている傾向があるといえます。
インダイヤルのフチ部分が116506だと黒なのに対し、116506Aだとアイスブルー仕様となる点。また、ダイヤモンドがバケットタイプである点などが、注目される理由だといえるでしょう。
さて、そんな116506Aという存在は、2015年10月において、新品実勢価格が728万円(3社平均)という水準。
2000年頃に「高い」という水準が100万円台だったのが、2004年には300万円台となり、2015年にはついに700万円台に達しているということが分かります。
かつて「700万円台」の時計という存在は、お店で売られているというよりも、海外のオークション会場であるとか、デパートのお得意様専用というような印象もあったかと思います。
しかし、今となっては、憧れられる「高い時計」の価格帯としてこの116506Aは700万円台となっており、実際、憧れられるような有名人もこの116506Aを着けている様子があります。
さて、そんな116506Aという存在ですが、このように700万円台という水準に達しているため、有名モデルでありながら「自分には関係ない」と思ってしまっている方も多々いらっしゃるかと思います。
700万円台という水準ですから、そのような価格で買うのは『値下がりしても気にしないお金持ち』という印象があるのは仕方がないといえるでしょう。
けれども、そんな116506Aは、なんと3年前の新品実勢価格より、現在の中古のほうが高いのです。そして、その値上がりした額はなんと70万円台という水準です。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2015年10月 の新品実勢価格(3社平均) |
2018年10月 の中古安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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ロレックス
デイトナ 116506A |
新品 | 3年 0ヶ月 |
¥7,280,000 | ¥8,037,600 | 757,600 | 110.41% |
これまで、高い腕時計という存在は多々ありましたが、一般認知度が比較的高い現行モデルというくくりでは、その水準は700万円台となったことはないといってよいでしょう。
例えば、16520に高い注目度が集まっていた2000年代前半でも、デイデイトのアイスブルー文字盤には、ある程度の知名度があったといえ、「すごく高い」という印象があったと思います。ただ、その際の水準は、新品300万円程度でしたし、それ以降において「高い」と感じられたデイデイト2のアイスブルー文字盤についても、500万円台といったところだったかと思います。
つまり、いくらプラチナのロレックスとはいえ、700万円台という価格帯はこれまで例を見ないほど高く、まさかその水準から値上がりするという発想にはなかなかならなかったといえます。
実際、筆者も2015年の時点で、このような状況になるとは思っておらず、このデイトナの値動きはまったく予測できていませんでした。
デイトナ116506Aの価格帯や値動きは、これまでの過去の常識を破壊したといえる様子で、その存在は、革命児のような姿に写ります。
これまでの「高いデイトナ」と言われるモノの価格変遷などを見ると分かるように、過去の常識は普遍的なものではないのです。
ですから、この116506Aという革命児が、常識が変わる瞬間を我々に派手に見せつけてくれたというのが今の状況であると感じます。