パテックフィリップのトラベルタイムという存在は、2000年代前半においては、コンプリケーションのパテックフィリップとしては比較的安価な時計という印象でした。
この時計には、その名の通り「トラベルタイム」という機能が備わっているため、コンプリケーションといえる時計です。
しかし、当時の価格帯や扱いはいわゆる“プチコン”とは同じとはいえず、カラトラバとプチコンの中間的価格帯に位置していたといえます。
実際、コンプリケーションのムーブメントは自動巻が主であるのに対し、この時代のトラベルタイムは手巻きとなっていたことから、そういった価格帯だったということが理解できます。カラトラバを見て分かる通り、パテックフィリップは特殊なモデルでない限り、手巻きより自動巻のほうが高い傾向があります。
しかし、そんなトラベルタイムは、今となっては当時の“プチコン”よりも高い状況。
2017年4月の段階で、トラベルタイムの5134Gは230万円台でしたが、年次カレンダーの5035は200万円程度といった水準。
2000年代前半において、「年次カレンダー」という存在はトラベルタイムより高かったのですが、2017年にはすでに価格帯が逆転していたのです。
最近、トラベルタイムといえば、この5134のような「カラトラバトラベルタイム」を指すというよりも、アクアノートの印象が強いかもしれません。
実際、アクアノートのトラベルタイム5164Aは400万円程度といった水準で、他のコンプリケーションと比較しても高いという印象があります。
ですから、アクアノートの人気が、過去のモデルへの評価に影響を与えた可能性があるかもしれません。
ただ、2016年後半から2017年前半頃において、年次カレンダーの5035は特に値下がり傾向で一時は200万円を切ったということもあったという事情もあります。
そのため、トラベルタイムのほうが年次カレンダーより高かったという現象は、年次カレンダーの値下がりによる原因も考えられます。
そして、そんな年次カレンダーは、現在230万円台となっており、2017年前半などの水準から回復傾向となっている模様。
そうすると、再度トラベルタイムのほうが“安く”なってしまったのかと思うのですが、実はそうではありません。
なんとトラベルタイムの5134G-001は、現在250万円という水準で、2017年4月よりもさらに高くなっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年4月 の安値(楽天) |
2018年10月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
トラベルタイム 5134G-001 |
中古 | 1年 6ヶ月 |
¥2,367,000 | ¥2,500,000 | 133,000 | 105.62% |
トラベルタイムの最近の価格帯や、その値動きを見ると、2000年代前半とは比べ物にならないほど人気が高いといえるでしょう。
その人気の理由は、定かではありませんが、可能性として考えられるのは、先のようアクアノートの影響がある可能性があります。
かつて、トラベルタイムといえば、ワールドタイムの廉価版という印象もあったかと思いますが、今となっては同じ年代のワールドタイムとの価格差は以前よりかなり狭まっているといえます。