パテックフィリップの高級なモデルといえば、2年ほど前までは、「年次カレンダー」や「ワールドタイム」といったコンプリケーションという印象がありました。
特に、年次カレンダーの最新モデルである、5396G-011は人気があり、相場も高いという印象があったように感じます。
年次カレンダーは、1996年に初代モデルが登場しましたが、この5396のような“小窓”タイプが登場したのは2003年のこと。
その際デビューしたWEMPE限定モデルは、高い注目度となり、2006年には通常モデルとして小窓タイプの年次カレンダーが発売されました。
ただ、その際登場した5396-001は、同じ5396でもこの5396G-011とは見た目の印象が全く違うデザインのモノ。
5396-011がWEMPEモデルや、それ以前に存在した永久カレンダーに似ているのに対し、「-001」は1930年代のカラトラバを復刻させた5296の年次カレンダー版といったところでした。
「-001」は2006年に登場したのですが、その際「-011」は同時に登場したというわけではなく、WEMPEに近い文字盤デザインの5396を待ち望む声があったと思います。
そして、WEMPEに近いデザインである「-011」が登場したのは、5396がデビューしてから4年後の2010年。そのブランクがあったという点も含めて、登場時から“人気モデル”となったように感じます。
そして、2017年頃まではこの5396G-011は「-001」より高いのはもちろん、他のパテックフィリップの人気モデルと比較しても相対的に高く、まさに「高いモデル」という印象だったのです。
けれども、そんな年次カレンダー5396G-011の価格序列は、1年少し前と比較してずいぶん違った状況となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年9月 の安値(楽天) |
2018年11月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
年次カレンダー 5396G-011 |
中古 | 1年 2ヶ月 |
¥3,800,000 | ¥3,606,000 | -194,000 | 94.89% |
2017年といえば、ノーチラスの5711/1A青文字盤が目立って値動きし始めた年ですが、9月の時点ではこの5369G-011と同水準となっていました。
それまで、5396G-011はノーチラス5711/1A-010などと比較して高い価格帯となっていたため、ノーチラスがこの年次カレンダーと同じ価格帯というのは「驚き」だったのです。
しかし、その後もノーチラスの値動きは止まらず、2017年11月の時点では400万円台、2018年5月の時点では500万円台にまで上昇。
年次カレンダーの5396G-011とは比較できないほど、ノーチラスは“高い”価格帯に変化してしまったのです。
また、ノーチラスが値上がりする一方で、この5396G-011はここ1年において値下がり傾向となっています。
今年、2018年には、1930年代のデザインが採用されたカラトラバ5296Gが上昇していますが、この年次カレンダーに関しても以前ほど「-001」と「-011」との価格差はない状況だといえます。
1年少し前までは、「新しく」「人気で」「高い」パテックフィリップの代名詞的存在だったこの年次カレンダー5396G-011ですが、2018年の今となってはそういった印象は薄れているといえるかもしれません。