オメガのスピードマスターといえば、ムーンウォッチという印象が強いですが、ムーンウォッチよりも安い価格帯に位置するモデルとして、いくつかの自動巻モデルが存在します。
最も安いラインナップは、「オートマチック」と呼ばれるリデュースドですが、その上のラインとして「デイト」などが存在します。
スピードマスターの場合、搭載するベースムーブメントによって、価格序列が決まる傾向があり、2000年頃のモデルの場合、最も安いリデュースドが通称2階建てのETA、デイトなどが7750、ムーンウォッチがレマニア、最も高級なブロードアローがフレデリックピゲとなっています。
当時の新品実勢価格は、上記の価格序列において比較的上位に位置するムーンウォッチですら10万円台後半、デイトなどは10万円台前半という水準でした。
腕時計ブームだった2000年前後の時代、オーソドックスな選択肢といえたのがロレックス、オメガ、カルティエ、ブルガリの4ブランドですが、その中でオメガは最も安い価格帯だったため、多くの人にとって入門的な存在だったと思います。
そんなスピードマスターの「デイト」には、兄弟的な存在として「トリプルカレンダー」があります。
デイト表示付きのクロノグラフである「デイト」に対して、トリプルカレンダーはより複雑であるため、価格はずいぶん高そうに見えますが、実はデイトとトリプルカレンダーの実勢価格は1万円程度だったと記憶しています。
筆者は、1999年にオメガのシーマスターを購入したのですが、購入した後にトリプルカレンダーの存在を知り、そっちを買えば良かったと思ったした記憶があります。
当時、スピードマスターのデイトやトリプルカレンダーは、シーマスター120mと実勢価格が大きく変わらず、用意される文字盤色なども似ており、共通する要素がいくつもあるという印象でした。
スピードマスターのトリプルカレンダーやシーマスター120mのように、自動巻、ブレスレット、オーソドックスなデザインという内容で、新品実勢価格が10万円台前半だったこれらオメガは、2000年前後という時代において、初めての腕時計として魅力的な選択だったといえます。
ただ、そういった入門向けのキャラクターがある時計は、マニア目線だと「グッとくる」とはならず、中古では評価されない傾向もあります。
しかし、このトリプルカレンダーは、最近なかなか上昇傾向といえる様子となっており、現在のABランク以上の個体は約17万円という水準に達しているのです。
入門として買われたことが多いためか、程度の悪い個体が他の時計と比較して多いため、最安値にはBランクのモノが多々あります。それだけを見ると価格変動がしないように見えますが、程度が良い個体を比べると、実は値上がり傾向だといえる状況となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年7月 の安値(楽天) |
2018年12月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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オメガ
スピードマスター トリプルカレンダー 3523.80 |
中古 | 1年 5ヶ月 |
¥147,800 | ¥170,640 | 22,840 | 115.45% |
近年、この世代のオメガが評価されているように感じ、このトリプルカレンダーだけえなく、シーマスター120mなども以前より高くなっていると感じます。
この世代のオメガの多くは、2000年前後の新品実勢価格よりも、現在の中古相場のほうが高いという状況となっており、このトリプルカレンダーもその例に漏れません。
上昇額としては、ムーンウォッチのほうが上ですが、入門という要素のあるトリプルカレンダーがかつての新品実勢価格より高い状況というのは感慨深いといえます。
トリプルカレンダーは、2000年前後の新品実勢価格や立ち位置を見ると入門用というキャラクターだったと思いますが、今見ると決して入門向けとは感じません。
まさにトリプルカレンダーという機構が、マニアックな面白さを感じさせるところですが、これまでオーソドックスな選択肢という印象が強かったため、そのマニアックさに気づかなかったのかもしれません。
新品として売られていた時代から年数が経ち、ほどよいヴィンテージ感が出た今、このトリプルカレンダーは、以前よりもさらに魅力的に見えるように感じます。