2010年にデビューしたノーチラスの年次カレンダーモデル、5726/1A。
今ではコンプリケーションのノーチラスは当たり前という存在感となっていますが、かつては「年次カレンダー」と「ノーチラス」は全く別の存在という印象がありました。
年次カレンダーはその機構が示すように高級要素そのものですが、ノーチラスも2000年代後半には既に“高いモデル”という印象となっていたため、それら高い要素を組み合わせた5726という存在は、高い要素の組み合わせと感じました。
しかし、2017年から3針青文字盤の5711/1Aが大きく上昇し、コンプリケーションを凌ぐほど高い価格帯へと変化。そして、2018年に5711/1Aが500万円台後半となった際、ついにこの5726/1A-010よりも高い中古相場となってしまったのです。
かつての常識であれば、3針よりコンプリケーションのほうが安くなるということはなく、まして年次カレンダーという要素がそのようなことになるとは考えられませんでした。
ですから、3針よりも年次カレンダーのほうが安いというのはかなり驚く現象だったといえます。
けれども、そんな年次カレンダーの5726/1A-010はその後きちんと上昇し、3針より安くなってから2ヶ月後には、再度3針より高いという状況に回復しています。
そして、それから4ヶ月経った今、この5726/1A-010はさらに60万円以上も上昇し、なんと3針よりも80万円以上高くなっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
| 腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年8月 の安値(楽天) |
2018年12月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
ノーチラス 5726/1A-010 |
中古 | 0年 4ヶ月 |
¥5,950,000 | ¥6,609,600 | 659,600 | 111.09% |
2017年から2018年にかけて目立った値動きをした5711/1A青文字盤は、500万円台後半となって以降、値動きが停滞気味といえる様子ですが、コンプリケーションの5712/1Aやこの5726/1Aの値動きは停滞していない様子です。
そのため、一時は3針より安くなった各コンプリケーションは、いずれも3針より数十万円単位で高いという価格序列に回復。
かつての5711/1Aのように、数ヶ月で数十万円単位の目立った値動きとなっているのです。
これらコンプリケーションの値動きは、5711/1Aの値動きに対して時間差で起こったようにも感じられますが、これは興味深い値動き事例の1つだといえます。
目立って値動きするモデルが出現した場合、それらに関連するモデルが遅れて値動きすることは、デイトナでも見られる現象です。実際、デイトナ16520が値動きした後でも、YGの16528が目立って上昇したりしていますし、最近でも革ベルトの16518や16519が目立って上昇しています。
ノーチラスのコンプリケーションモデルは、デイトナでいうYGモデルに相当する高級モデルだといえ、16520と16528のように、5711/1Aに対応する高級モデルという印象です。
ただ、ノーチラスの場合、この5726/1Aの他にも、5712/1Aや5711/1Rなどがあるため、5711/1Aに対応する高級モデルは多々あるといえます。
多々あるといっても、それら上位モデルはいずれも上昇している傾向がありますが、そういった上位モデルのキャラクターはいずれも「強い」といえるため、存在を認識されているのだと思います。