16520といえば「高い」という印象がありますが、「高い」と感じるのは同じでも、その“高さ”は時期によって異なるといえます。
例えば、90年代後半においては、定価65万円(税別)に対して新品実勢価格が100万円以上という水準だったため、「高い」と感じたことでしょう。また、現在では、2016年頃まで120万円だった中古相場が220万円台となっていることが「高い」と感じるかもしれません。
そして、そんな16520には、同じ16520でも特に高くなる要素が存在し、それら要素を持つものは、通常の16520とは、また違った価格帯に位置しているのです。
その要素には、いくつかの種類があるのですが、古くて評価される傾向と、新しくて評価される傾向の2つがあるといえます。
古くて評価されるのは、200タキメーターや4段文字盤なのですが、これらは古いモデルに存在する傾向があります。
そして、新しくて評価される存在こそ「P番」という存在なのですが、なぜ評価されるかというと最終世代だからです。
ロレックスの最終世代は評価される傾向がありますが、その中でも最も有名なのがこの16520P番だといえます。
P番は、2000年に製造された年式なのですが、2000年といえば116520がデビューした年です。
通常、新作が登場する年には、旧作は生産終了となっていることが多く、新作登場年の製造番号はない場合が多いといえます。
しかし、16520の場合、116520が2000年8月に登場したため、同じ2000年に新旧両者が製造されていたのです。これは、GMTマスター2の16710も同様で、新作登場年が最終品番となっている点が16520と共通しています。
そして、新作登場年の最終品番は、切り替えということもあって、数が少ないため特にレアとなるのです。
ですから、デイトナ16520のP番は、2000年代前半の時代から特に高く評価されている存在として有名で、16520の中でも大きく異なる価格帯に位置しているといえます。
では、そんなP番の16520は、今年どのような水準となっているかというと、なんと400万円台後半に達しており、1年前と比較して180万円以上も上昇しているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
| 腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年1月 の安値(楽天) |
2019年1月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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ロレックス
デイトナ 白文字盤 P番 16520 |
中古 | 1年 0ヶ月 |
¥2,974,320 | ¥4,800,000 | 1,825,680 | 161.38% |
16520は2017年に目立って高くなりましたが、200万円台となった夏以降、値動きが停滞気味となり、長らく200万円前後となっていました。
それが、2018年の春頃から再度値動きをするようになり、今では220万円台という水準に達しています。
この220万円台というのは、ボトム価格ですが、近年16520においてボトム価格にいる傾向があるのは、T番やU番など最終世代の1つ前という比較的新しい年式です。
90年代において、ロレックスは全体的に新しい要素が採用されたのですが、それら要素で大きなものが発光塗料の変更です。
デイトナにおいては、A番から発光塗料がトリチウムからルミノバに変更されたのですが、ルミノバのほうが評価される傾向があります。
近年では、トリチウムのほうが高評価となっていることも多く感じますが、デイトナにおいてルミノバのほうが高いというのは、2000年代前後の文化を踏襲しているともいえます。
2000年前後においてルミノバは、いまでいうクロマライト的な新しさだっため、人気があったのです。
デイトナのP番は、以前から特別な存在ですが、16520が特に評価される今において、400万円台となっているのは、「さすがP番」という感想になります。