ステンレスのパテックフィリップは、ノーチラスやアクアノートをなど除くと、かなり異色な存在だといえ、90年代中盤頃までは、限定モデルに限られるという傾向もあったことがあります。
また、コンプリケーションにおいてのステンレスモデルは、さらに珍しいといえ、これまでのパテックフィリップの歴史でもノーチラスなどを除くと数えられるほどしか存在しないといえるでしょう。
2005年までは、ノーチラスやアクアノートにはコンプリケーションモデルがなかったため、ステンレスのコンプリケーションは、5085/1Aぐらいしかなかったといえます。
ただ、そんな5085/1Aに対しては、あまりレアという印象をもっている人が多いとはいえない様子で、「レアモデル」として扱われることは見かけません。
しかし、同じステンレスのコンプリケーションモデルでも、年次カレンダーとクロノグラフをダブルで搭載したこの5960/1Aは、なかなか注目度が高かったと感じ、その新品実勢価格も2015年の時点で500万円台後半と、かなり高い水準でした。
500万円台の腕時計という存在は、今となってはそれほど驚くほど高いと感じないかもしれません。
実際、ノーチラスは3針もコンプリケーションも500万円以上となっているため、以前よりも「500万円台」という腕時計に対する感覚は、身近になったともいえます。
けれども2015年において、ノーチラスの5711/1Aや5712/1Aは300万円台という水準であり、500万円台という時計は、今よりも雲上という印象があったと思います。
では、2015年時点でずいぶん高いという価格帯に感じたこの5960/1Aは、現在どのような中古相場になっているのか気になるところですが、その変化は2015年5月の新品実勢価格に対して、70万円以上の値下がりとなっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2015年5月 の新品実勢価格(3社平均) |
2019年1月 の中古安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
年次カレンダー クロノグラフ 5960/1A-001 |
新品 | 3年 8ヶ月 |
¥5,874,133 | ¥5,160,000 | -714,133 | 87.84% |
この5960という存在は、ステンレス以前にはプラチナが存在したのですが、そのプラチナ版は正規店では入手困難というレアさがありました。
そして、プラチナが製造終了となった2014年、このステンレスモデルが登場し、もともとのレア感に、さらにステンレスという希少要素が加わり高い注目度となったのです。
またステンレスの5960は、この白文字盤の印象が強いのですが、2017年に黒文字盤が登場した際、生産終了となった模様。そして、2018年にはその黒文字盤も生産終了となり、5960自体が消滅した様子です。
かつての人気度や実勢価格を考慮すると、この5960という存在は現行時代の新品実勢価格を上回っても不思議ではないキャラクターだとも感じます。
実際、人気があったり、割高と感じるほどの高価格帯のモデルは、2017年以降において、過去の新品実勢価格よりも高くなるということが珍しくありません。
しかし、この5960は2015年の新品実勢価格と比較しても70万円以上の値下がりとなっており、値動きの観点では人気モデルとはいえないのです。
かつて、ノーチラスよりずいぶん高かった5960という存在は、今となってはノーチラスよりも安く購入可能となっています。
この5960という存在は、意外にも世界の時計ファンからの注目度がそこまで高くないのかもしれません。