90年代から現在まで、長らく現行モデルとして存在するフランクミュラーのカサブランカ。
日本では、パネライとともに2002年頃から「ブーム」という現象となり、腕時計専門ブランドでありながら、高級腕時計に深い知識を持たない人の間でも高い知名度となりました。
カサブランカは、フランクミュラーのラインナップの中で最も安い価格帯に位置するモデルですが、2002年頃におけるその実勢価格の序列は「ロレックス以上、パテックフィリップ未満」という位置に君臨していました。
2002年当時、パテックフィリップは「雲の上すぎて関係ない」と思われていたため、ロレックスの次に買う腕時計として大きく注目されたのです。
パネライがロレックスの延長線上にあるキャラクターだとするならば、フランクミュラーは雲上に近く、「手が出せる雲上」というように、ある種の「雲上入門」となった存在と言えるかもしれません。
また、見た目はひと目で「フランクミュラー」だと分かり、多くの人に知名度があったため、人に自慢できるという観点でも良い選択肢だったことでしょう。
2002年当時、筆者はパテックフィリップを買いましたが、誰からもパテックは羨ましがられず、フランクミュラーのほうが圧倒的に「モテる(男性からも)」という印象がありました。
そんなフランクミュラーのカサブランカという存在は、元が高い価格帯の腕時計ということもあり、その中古相場は2000年代でもなかなか高い水準だったのです。
当時の感覚としては、ブレスレットモデルを中古で購入する場合、安くても40万円台という感覚だったと思います。
そして、それはリーマンショック後の2010年前後という時代でも同様で、相変わらず高い(相対的に)という印象があったのです。
しかし、そんなフランクミュラーの水準は、2010年代中盤になるとそれ以前の印象とはずいぶん異なるものとなってきたのです。
ブレスレットモデルが30万円台という水準でも特に驚くに値せず、場合によっては20万円台で購入可能な個体も出現するようになったのです。
とはいえ、文字盤の色やサイズによって相場は異なる傾向があり、最も人気の高い6850サイズの白文字盤などは、今でも40万円台が主な価格帯という印象です。
では、メンズサイズで最も安い傾向があるのはどのような組み合わせかというと、2852サイズの「サハラ」など少し変わった文字盤という傾向があります。
そして、サーモンピンク文字盤の2852サイズは、それよりやや高い水準に位置しており、現在30万円台前半という水準となっています。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年10月 の安値(楽天) |
2019年1月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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フランクミュラー
カサブランカ ピンク文字盤 ブレスレット 2852 |
中古 | 2年 3ヶ月 |
¥334,800 | ¥312,900 | -21,900 | 93.46% |
30万円台前半という水準は、2016年において「ずいぶん安い」というように感じましたが、それから2年少し経った今でも、カサブランカのブレスレットモデルは同様の価格帯で入手可能です。
また、相場はやや下がっているとも感じ、30万円台前半というインパクトは以前よりも弱く、いつでもその価格帯で購入できそうだという感覚もあります。
ちなみにこの記事の個体は、文字盤の12がフラットな形状となっている比較的初期の文字盤。パネライでいうPreAなどと同世代の文字盤なのですが、パネライのトリチウムのように特に評価されるということは現状ない様子です。
いずれにしても、現在のカサブランカの中古は、ロレックスより安いのはもちろん、パネライのオーソドックスなモデルよりも安いため、かつての価格序列とはずいぶん異なる印象です。