パシャCの中で、「高級モデル」という印象のあるクロノグラフ。
2000年前後という時代、3針モデルの新品実勢価格が約29万円だった際、クロノグラフとなると約39万円という水準だったのです。
当時の39万円という水準はサブマリーナの16610よりも高く、ずいぶん高い存在という印象でした。
価格序列の常識は2019年現在とは異なるため、「16610より安い」という感覚がどういったものだったのか、ここで説明したいと思います。
2000年代前半当時のロレックス価格序列は、デイトナが筆頭だったという点は、今と同様なのですが、それ以外のモデルではエクスプローラーが最も高く、サブマリーナノンデイトが最も安かったのです。ちなみに、ノンデイトは所謂スポロレとは別物という印象で、数本持っている時計ツウの選択というイメージもありました。そのためか、雑誌でもスポーツモデルで最も安いのはGMTマスター2という記述をよく見かけ、筆者個人の感覚としてもそれと同様でした。
そのような相場において、サブマリーナ16610という存在は、ちょうど中央値ともいえる存在感となっており、まさに「オーソドックス」という印象。レア感は無かったものの無難な選択として多くの人に認識されていたと感じます。
では、カルティエのパシャCはどのような存在感だったかというと、ロレックスと迷われるポジションにいたと思います。
パシャCは、デイトジャスト16200と同水準ながら、より色っぽく豪華にも感じたため、筆者も魅力的だと思っていました。
それが、パシャCでもクロノグラフとなるとその実勢価格はサブマリーナ16610よりも高かったため、かなり高いという印象があり、憧れのモデルと感じた人もいたことだと思います。
そういったこともあってか、クロノグラフのパシャCは中古相場でも高かったのです。
3針のパシャCは、リーマンショック以前までは20万円前後という中古相場だったのが、リーマンショック以降10万円台前半となり、アベノミクス以降においても大きく回復していない傾向があるといえます。
その一方でクロノグラフは、3針が10万円台前半だった2015年でも20万円台をキープしていました。
けれども2016年4月、約15万円という個体が出現してからは、10万円台の個体が出るようになり、長らく20万円を切る状態が続いていたのです。
しかし、そんなパシャCのクロノグラフは今、約21万円という水準に回復し、久々に20万円台という水準になったのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年7月 の安値(楽天) |
2019年3月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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カルティエ
パシャC W31048M7 |
中古 | 0年 8ヶ月 |
¥178,000 | ¥216,000 | 38,000 | 121.35% |
パシャCが男性用というイメージだった2000年代前半までにラインナップされいクロノグラフには2つのモデルが存在。最初に登場したのが白文字盤で、2000年に白文字盤に代わり登場したのが銀文字盤です。
この銀文字盤であるW31048M7は、文字盤にタキメーター表示が追加されたことなどから、当時としてはなかなかの注目度があったといえます。
ただ、その後は、銀文字盤以前に存在した白文字盤のほうが数が少ないというイメージとなり、高値へ変化。
ただ、今となっては時期によっては白文字盤のほうが高いことも、銀文字盤のほうが高いこともあり、いずれか一方が高いというわけではありません。
2016年以降、白文字盤に関しても10万円台中盤という水準が目立っていましたが、クロノグラフはいずれもそういった水準より値上がりしている様子があります。
3針については大きな動きがないパシャCですが、クロノグラフについては目立った動きがある様子となっており、なかなか興味深いといえます。