90年代後半から、高い価格帯のアンティークモデルとして認識されているミルガウスの1019。
現行時代は、人気がなかったため、生産終了と同時にシリーズ自体が廃止となったのですが、その後ロレックスブームが発生した際に「幻のモデル」という感覚で、高い価格帯で取引されるようになったのです。
2000年前後という時代の中古相場は、4桁デイトナ(非ポールニューマン)と同等という印象でしたが、その後も目立って値下がりすることはなく、いつの時代でも「高い」という印象があります。
しかし、そういった「高い」というイメージがある一方で、相場を把握しづらい傾向もあります。
特に、ここ数年はその傾向が顕著で、例えば、今でも200万円台から400万円台の個体があるように、同じモデルでも大きく価格が離れる傾向があるのです。
例えば、個人取引で素人が付けた価格なら、そういった現象が起こるのは仕方がありません。けれども、上記の価格はいずれもプロの値付けであり、他の腕時計の値付けを見て分かる通り、いずれもきちんとした価格であるのです。
では、なぜこのような現象がミルガウスの1019において起こるのかというと、その原因は大きく3つあると感じます。
という3点が価格に大きな影響をもたらすようですが、特に高値の要因となるのは生産年だと思われます。
1019は、60年代前半から1990年頃まで製造されましたが、60年代に製造されたモデルが特に安い傾向があり、80年代などに製造された個体は高いと感じます。
また、ロレックスの修理明細書の有無も価格に影響をもたらすのですが、これに関しては他の4桁世代とも同様で、特に1019だけの現象とはいえません。
文字盤色は、銀と黒がありますが、90年代後半の時代から黒文字盤が特に高い傾向があり、それは2019年現在でも同様だと感じます。
そしてそれらの組み合わせによって、100万円単位の価格差が生じるため、1019は有名なモデルであるにもかかわらず、相場を見極めるのが難しく、手を出しづらいのだと思います。
では、この1019はどのような値動きになっているのかというと、各要素を考慮して、比較すると約2年で100万円ほどの値動きとなっている様子です。
100万円単位の値動きということは、一見凄いようにも感じますが、1019というキャラクターからすると、どのような評価となるのかはきちんと考える必要があると思います。
本記事で参考とした中古腕時計
|
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年3月 の安値(楽天) |
2019年4月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
ミルガウス 黒文字盤 ロレックス修理明細書 1019 |
中古 | 2年 1ヶ月 |
¥2,698,000 | ¥3,780,000 | 1,082,000 | 140.10% |
ミルガウスの1019は、90年代後半という時代から相対的に高く、同世代のデイトナやノーチラスが1000万円以上の中古相場となっている2019年において、比較的高い組み合わせでも378万円という水準です。
高い価格帯に位置する1019ですが、かつて同価格帯だったデイトナなどが1000万円以上という水準になっている現在において、かつてほど評価されていないと、捉えることもできるのです。
1019は、有名なモデルかつ、20年近く前から相対的に高い価格帯に位置する存在ですが、現在、その価格はばらつきが激しく、手を出しづらい存在でもあります。
筆者としても、1019は魅力的だと思いますが、いざ買おうと思った場合、かなり考えることがあり、かなりな玄人向けのモデルだと感じます。
こういった傾向は、GMTマスターの初代モデル、6542にもありますが、いずれも強いキャラクターであるにもかかわらず、他の人気モデルと比較すると、そこまでの評価となっていないと感じます。