機械式腕時計は、磁気に弱く、磁気を発生させる装置の近くでは使えません。
そのため、1950年代の段階からロレックスは、磁力が強い環境で働くエンジニアや医師などを想定し、ミルガウスというプロフェッショナルモデルを用意してきました。
ミルガウスは、「ミル」というフランス語の通り、1000ガウスにまで耐えられる性能を特徴としており、2007年に復活した世代でも同様の性能となっています。
しかし2013年、オメガは15000ガウスにまで耐えられるモデルを発表。発表会ではミルガウスとの比較も行ったほど、その性能の高さをアピールしていました。
ミルガウスなど、多くの耐磁時計は、ケースでムーブメントを保護するという方法だったのですが、オメガの磁気対策には全く異なるアプローチがとられました。
オメガは、ムーブメントそのものに磁気帯びしにくい素材を使用することで、15000ガウスにまで耐えられる性能を実現させたのです。
その結果、ムーブメントをインナーケースで保護する必要もなく、裏スケすらも実現。
この時計が発表された2013年には、この新しい機構に多くの時計ファンが度肝を抜かれたことだと思います。
そして、その際登場したモデルこそ、この231.10.42.21.01.002であり、ハチの針のような秒針デザインが特徴となっています。
この231.10.42.21.01.002は、これだけ特徴的な内容であるため、オメガの値上がりモデルが目立つ2019年現在において、大きく値上がりしていても不思議ではありません。
しかし、2019年の今、実は値下がりとなっているのです。
231.10.42.21.01.002は2017年2月の段階で約37万円だったのが、2019年4月現在では約32万円という水準。
2年ほど前の段階では、30万円台後半という価格帯だったのが、今では30万円台前半となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年2月 の安値(楽天) |
2019年4月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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オメガ
シーマスター アクアテラ 15000ガウス 231.10.42.21.01.002 |
中古 | 2年 2ヶ月 |
¥375,300 | ¥328,000 | -47,300 | 87.40% |
この231.10.42.21.01.002が値下がりした原因は、この仕様のムーブメントを他のモデルにも採用したことだと感じます。
オメガは、15000ガウスに耐えられる性能をこの231.10.42.21.01.002で発表しましたが、その後他のモデルにも採用。
今では、15000ガウスという性能に対して、あまり特殊さを感じないほどそれを採用するモデルがオメガには増えている印象です。
そのため、この231.10.42.21.01.002は、15000ガウスの初期モデルである一方、それほどの強い特殊さを感じないため、値下がり傾向となっているのだと思います。
もしも、15000ガウスに耐えられるモデルがこのモデルだけだったならば、今とは違う動きとなっていたように感じます。