かつてパテックフィリップと言ったらこの時計、96が最も存在感があった時期がありました。今でこそ「パテックフィリップ」と言われたら「ノーチラス」を想像する人が多いのは事実として認めなければならないことでしょうが、96こそがパテックと言われていた2000年代前半まで「ノーチラス」は邪道なパテックだったのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2014年4月 の安値(ヤフオク) |
2016年5月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
カラトラバ 96 |
中古 | 2年 1ヶ月 |
¥800,000 | ¥1,098,000 | 298,000 | 137.25% |
当時の「ノーチラス」の位置づけは、
「オーソドックスなパテックをせめて1本持っている人が、遊び用に買う時計」
これは某正規代理店の方も言っていたことです。
しかし、その後ノーチラスは世界的な“人気時計”となり、「パテックフィリップといったらノーチラスが思い浮かぶ」という人が多いことは正規代理店の方も分かっていると思います。
さて、この96。
昔に比べると96のことを考えている人が少なくなったように思えます。
しかし2000年代前半頃まで、この96こそが時計ファンにとって「最後の腕時計」と言われていたのです。
96を見た感想で多いのが
「ベストバランス」
「見ていて溜息をつくほど美しい」
でした。
確かに「バランスの良いデザイン」だとは思いますが、60万円から80万円で流通していたこの時計、「最後の腕時計」と言わずに買ってしまえば良かったのに、と私は思います。
とはいえ、当時この時計を買うなら、クロノグラフ(5070)やノーチラス、アクアノート等を買っていたほうが良かったのは間違いありません。
なぜなら、それら3つのいずれかを買っていれば、今頃売却益で96が買えたかもしれないからです。
なぜ買わなかったのかと「ため息をつきたい」ですね。
さて、96。
生産されたのがかなり昔の時計。1950年頃生産、と言われても普通な時計です。
ただパテックフィリップの場合、アーカイブをすぐに発行してくれるので本物証明は容易。
通称アンティークロレックスとは異なり、ニセモノリスクはありません。
しかし、種類が非常に多く、どれをだれが評価するか、かなり曖昧です。
そのため、同じ見た目に見えるモデルでも、80万円で取引されたり130万円で取引されたり、その価格はかなり乖離しています。
例えば、黒文字盤は希少なため高値傾向があるのですが、そういう分かりやすい理由以外の価格を決める要素が存在するのが96の厄介なところ。
よって、96。「最後の腕時計」と言われるぐらい“神聖”な時計である訳ですし、出口戦略も厄介。
「最後の腕時計」、すなわち「最後に買う腕時計」と思われていた96ですが、腕時計投資の売却益で「最初に買う時計」にしてみてはいかがですか。