パテックフィリップのステンレスモデルといえば、ノーチラスとアクアノートという2つのシリーズがありますが、その2つのデビュー年は大きく異なります。
ノーチラスが1976年であるのに対し、アクアノートは1997年。
今となっては、1997年を対象としても、既に20年以上が経過しているため、どちらも昔からあるように感じてしまいますが、実はアクアノートのほうがはるかに新しいのです。
ロレックスブームだった2000年前後という時代、アクアノートはデビューしてから3年程度だったため、“新しい”という印象が強かったように感じ、当時は“古臭く”感じたノーチラスより、人気が高かったと思います。
実際、筆者は当時アクアノートを購入したわけですが、その頃思ったのは、『いずれノーチラスはアクアノートに統合されるのだろう』というように、アクアノート登場後に、古臭く見えてしまっていたノーチラスの存在意義が弱まっていたと感じたのです。
しかし、いざアクアノートのオーナーになってみると、ノーチラスの独特な世界観を理解。その独特さがたまらなくなり、結局筆者はノーチラスも購入しました。
その後、ノーチラスもアクアノートも世界的に大人気な存在となっていきましたが、現在、より人気が高いのはノーチラスのほう。
現行モデルが高いのはもちろん、初代ノーチラスである3700/1は、2018年の時点で既に1000万円程度という水準に達しています。
では、アクアノートはどうかというと、その初代である5060Aは、他の第一世代アクアノートとそれほど大きく変わりません。
それどころか、長らく同じ33mmラバーベルトの5066Aより安いという相場となっており、機械式アクアノートの中では最も安いという印象がありました。
その理由として大きいのは、この5060Aだけが“裏スケ”仕様でないという点。アクアノートといえば裏スケという印象がありますが、そうなったのは、1998年に登場した5066からであるのです。
ですから、今まで5060Aが相対的に低く評価されていたのは理解できるのですが、それでも、この5060Aには“初代”という強い要素があります。
まして、生産された期間は1997年から、5066Aがデビューする1998年までの、おそらく1年間であるため、いろいろな意味で希少要素が高い1本だといえるのです。生産期間が1年程度というパテックフィリップは、ノーチラスの3712/1Aを始めとして評価される傾向がありますが、5060Aはこれまで大きな評価とはなっていません。
では、2019年の今、そんな5060Aはどのような水準となっているかというと、1年前と比較して約59万円の値上がり状態。
現在では233万円というボトム価格となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年5月 の安値(楽天) |
2019年6月 の安値(ヤフーショッピング) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
アクアノート 5060A |
中古 | 1年 1ヶ月 |
¥1,738,000 | ¥2,330,000 | 592,000 | 134.06% |
実はこの5060A、昨年2018年の段階でも、2016年9月と比較して、1年8ヶ月という期間で約46万円の値上がり状態でした。
ですから、2016年以降、年々数十万円単位で高くなっていることになります。
そして、この1年1ヶ月という期間で、約59万円の値上がりとなった5060Aは、2016年から2018年までの値動きを上回っているだけでなく、その値動きの期間も短くなっているといえます。
ただ、同世代の他のアクアノートと比べると、この5060Aは未だ抜きん出て高いわけでもなく、どちらかというと安いほうの部類という状況に変わりありません。
ですから、5060Aは年々評価されているものの、その評価に「初代」という観点はあまり重要視されていない模様です。