パネライの自動巻モデルといえば、今やどのサイズでも選択可能という印象がありますが、2000年代前半においては、基本的に40mmという傾向がありました。
もちろん、その時代でも44mmの自動巻モデルは存在していたのですが、それらは基本的にアレンジモデルという印象。
例えば、サブマーシブルやGMTモデル、パワーリザーブなどが自動巻だった一方で、シンプルなモデルは基本的に手巻きだったのです。
そんな時代のパネライにおいて、最もシンプルな自動巻44mmモデルがこのPAM00086という存在。
このデザインを見て分かるように、まさにアレンジモデルという印象の見た目です。
サテン仕上げのケースといい、文字盤の色といい、文字盤表記といい、手巻きモデルとは明らかにデザインが異なります。
ですから、このモデルこそ、当時のパネライで「44mm自動巻」という存在が変わり種モデル扱いだったことを象徴するような1本だといえるわけです。
さて、このような変わり種モデルとえば、現行当時は不人気だった一方、生産終了となってから高値になるという傾向がパネライでは特にあるといえます。
例えば、最近高値な40mmブレスレットのPAM00069は、現行当時白文字盤や黒文字盤より明らかに不人気だったのが、今や同世代のブレスレットモデルの中で最も高い価格帯となっています。
それと同じように、このPAM00086という存在は、2015年時点で、他の同世代パネライより高い価格帯に位置。
当時、このPAM00086は50万円台半ばという水準。今の69のように高い評価となっていたのです。
しかし、それから4年近くが経過した今、PAM00086は2015年水準より9万円ほど値下がり状態の様子であるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2015年9月 の安値(楽天) |
2019年6月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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オフィチーネパネライ
ルミノールマリーナ PAM00086 |
中古 | 3年 9ヶ月 |
¥549,000 | ¥458,000 | -91,000 | 83.42% |
PAM00086が値下がりした理由として考えられるのは、86番自体の人気が低下してしまったのか、もしくは、パネライ全体が安くなったのかという点が考えられます。
この場合、最も大きい要因といえるのは、この時代の44mmパネライが2015年頃より安くなっているという点。
2015年において、ルミノールベースなど、手巻き44mmモデルの2000年代前半モデルは、いずれも45万円程度だった一方、今では30万円台というモデルもあります。
もちろん、PAM00002のように50万円台という水準のモデルもありますが、PAM00112は30万円台後半というように、2015年よりも、モデルによってバラつきが目立つ印象です。
ただ、2番のように高いモデルは高いという傾向があるということや、69番など最近の高いパネライの例を見ると、2000年代前半に製造された、比較的生産年が短めのレアモデルは評価される傾向があるといえます。
この86番は、2001年と2002年の製造ですから、まさにそれに該当するわけですが、今現在は、2015年より9万円ほど安く買える状態となっています。
86番は、この数年あまり中古が出ない傾向があるため、86番自体の人気が低下したというより、存在を認識されづらいというのが、安値となった要因なのかもしれません。