6桁世代のGMTマスター2といえば、カラーベゼルにばかり注目が集まっており、黒ベゼルに対する人気度はあまり高いものではなかったといえます。
116710LNが登場する以前、GMTマスター2で最も人気なベゼルカラーといえば「黒」だったのが、6桁世代からベゼルが黒一色となると、逆に不人気となってしまったようなのです。
その結果、116710LNは、BLNRがプレミア価格状態だった2016年の段階でも、中古が60万円台で売られていてもなんら不思議のない存在だったわけです。
しかし、そんな116710LNは、今年2019年のバーゼルを境に生産終了が発覚。
すると、黒ベゼルのステンレスGMTマスター2という存在がなくなり、逆に116710LNに対して「レア」という感覚になったわけです。
そして、相場は急上昇。
それまで5桁の16710よりやや安いぐらいの水準に位置した116710LNは、バーゼル以前の段階では90万円台前半という水準でしたが、生産終了発覚後の3月下旬には、一気に約127万円というボトム価格となったのです。
しかし、そんな116170LNは今、なんと100万円以下という状況まで戻ってしまっているのです。
3月時点では、“4ヶ月で約35万円の値上がり”という様子だった116710LNは、今や“5ヶ月で約29万円の値下がり”となってしまっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年3月 の安値(楽天) |
2019年8月 の安値(ヤフーショッピング) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
GMTマスター2 116710LN |
中古 | 0年 5ヶ月 |
¥1,274,400 | ¥980,000 | -294,400 | 76.90% |
生産終了後に急激な上昇をした116710LNですが、それから5月後の今、かつて値上がりした額とほぼ同等の値下がり状態となってしまっているのです。
3月のバーゼル後にこの時計が値上がりした際、筆者は「買っておけばよかった」と思いましたが、今や生産終了発覚前に近い水準で買えるという状況に戻っているわけです。
なお、昨年2018年のバーゼルでも、生産終了後に急上昇し、その後相場が値下がり傾向となったモデルがありましたが、それらとこの116710LNの事情は異なります。
2018年に目立って上昇したのは、ディープシーのDブルー文字盤だといえますが、それは事実上のマイナーチェンジ。大きな変化は搭載するムーブメントであるため、新型と旧型の見た目はほぼ変わりません。
それに対して、116710LNには、後継モデルという存在がなく、現在のGMTマスター2のステンレスのラインナップには、「黒ベゼル」も「3連ブレスレット」も無いのです。
そういった意味では、この116710LNの3月の値動きは、まさに生産終了になった影響だといえるわけで、それには違和感がありません。
ですから、それから5ヶ月が経過したこのタイミングで、なぜ116710LNが急激に下落したのかは謎という感想になります。
昨年のディープシーの場合、3月には「生産終了」というインパクトが大きかった一方、同じような見た目の後継モデルが存在します。ですから、一時的に値上がりした後、相場が冷静になっても不思議ではないのです。
しかし、116710LNには、後継モデルがないため3月時点での印象も、8月現在の印象も「レア」で変わりがないといえ、なぜここまで極端な値下がりになったのかはわからないとしか言いようがありません。