2019年7月以降、これまで目立って上昇していたモデルの多くが「ピークから落ち着いた」というような値下がり傾向となっていますが、その一方で、目立った値下がりとなっていないのが、すでに生産終了となった旧世代のモデルです。
特にそういった傾向を感じるのは、パテックフィリップであるのですが、ノーチラスやアクアノートなど、旧世代の多くが、今の時期でも値上がりしているといえる様子です。
そして、今回お伝えするアクアノートの初代モデル、5060Aもまさにその事例の1つであり、現在、2019年6月と比べて20万円以上の上昇傾向となっています。
2019年7月を境目に、これまで上昇傾向だった人気モデルの多くが値下がりとなっていますが、その「7月」を挟んでも、5060Aは上昇し続けているのです。
5060Aという存在は、これまでアクアノートとしてはあまり人気がないといえるモデルで、メンズモデルという枠の中での価格序列は下から2番目といった状態だったといえます。
最も安いのがクォーツの5064Aだったならば、その次に高いのが5060Aという感じであり、機械式メンズサイズという枠では、最も安かったアクアノートだったといえるでしょう。
5060Aが安い理由は多々あるのですが、それら全てに共通するのは「人気要素」が無いという点。
アクアノートにおける人気要素は、
ですが、5060Aは
と、人気要素とは逆の仕様。
ですから、これまで安い価格帯だったのは当然といえば当然とも感じるわけです。
しかし、この5060Aという存在には、そういった一般的な人気要素とは別に、一つだけ強い要素が存在。
その要素こそ、「裏スケでないなんて、どうでも良い」と思わせるほど強いものだといえるのですが、それは何かというと「初代アクアノートである」という点。
スポーツ系において「初代」はまさに重要であるといえますが、パテックフィリップの場合、それに該当するのがノーチラスとアクアノートしかないため、この5060Aは、実は3700並に歴史的価値のあるモデルともいえるわけです。
3700の評価は2018年の時点で、5711/1A-010の1.3倍程度となっていましたが、それをアクアノートに当てはめると、5060Aは570万円程度となるわけです。
もちろん、5060Aは現時点でそのような評価にはなっていませんし、将来的にそのような価格帯になるという期待感もありません。
実際、これまで「初代」ということが全く評価されていないともいえる価格帯に位置していたわけですから、いきなり500万円台、なんてことになるのは想像がつきません。
では、最近の5060Aの様子を見てみると257万円という水準になっているわけですが、これは、かなり納得の価格帯だといえます。
なぜなら、この価格は、“ブレスレット”かつ“裏スケ”という要素を持つ5066/1Aよりも高いから。
ものすごく評価されているわけではないものの、「ミディアムのアクアノート」という枠の中では最も評価されているという状況なのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年6月 の安値(ヤフーショッピング) |
2019年8月 の安値(ヤフーショッピング) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
アクアノート 5060A |
中古 | 0年 2ヶ月 |
¥2,330,000 | ¥2,570,400 | 240,400 | 110.32% |
現在、アクアノートにおいて最も高いのはトラベルタイムや金無垢モデルですが、ステンレス3針の中では、5065/1Aや5167/1Aが高いという様子。
それらに共通するのは、“その世代において最も大きいサイズ”と“ブレスレット”という点です。
それに対して、この5060Aは、そういった人気要素は全く持っていないわけで、ノーチラスの初代モデルとは異なり、人気要素の高い初代というわけではありません。
ですから、「ミディアムのアクアノート」というくくりの中で、最も評価されているという現在の価格帯が、まさに「初代」というプレミアムを反映しつつ、アクアノート全体の価格と照らし合わせてもかなり適当と感じるわけです。