雲上ブランドといえば、パテックフィリップ、オーデマピゲ、ヴァシュロンコンスタンタンですが、ピアジェもそれに匹敵する高級ブランドだといえます。
しかし、世間的には、未だピアジェのイメージは「宝飾ブランド」であり、古くからのマニュファクチュールであると知っているひとはまだ少ないと感じます。
実際、宝石も売っているわけですから、宝飾ブランドという側面があることに違いはありません。
そういった意味では、宝石も腕時計も強い稀有なブランドといえるわけですが、腕時計ファンからの支持は低く、結果的にピアジェの中古はあまり評価されていない状況が続いているといえます。
実際、ピアジェのラインナップは、独特で、いわゆる高級腕時計ブランドとは別ベクトルに存在するという感想にもなります。
人気の高い型番高級品というよりも、オートクチュールといった感じだといえますが、これは超高級といえる反面、売却しづらい要素でもあります。
実際、ピアジェのラインナップは、年々変化し、パテックフィリップやロレックスのような「有名モデル」はあまり多くありません。
とはいえ、「ポロ」という存在は、そんなピアジェの中でも比較的わかりやすいモデルだといえ、人気モデルにあるべき要素を持っているとも感じます。
ポロは1970年代に登場したスポーツモデルなのですが、ロイヤルオークなどに触発されて登場したモデルだと考えられます。
そういったモデルは、他にもノーチラスやヴァシュロンの222などがありますが、ポロの場合、それらとは異なりステンレスではなくK18にこだわっていました。
デザインもノーチラスやロイヤルオークのような強い特徴があり、それは70年代から2000年代のモデルへときちんと継承されていました。
ですから、ポロは、ノーチラスやロイヤルオークと共通した要素があるわけで、その濃いキャラクターや、「知る人ぞ知る」という立ち位置から、ノーチラスの次に買うモデルとなっても不思議ではありません。
しかし、2019年の今になっても、結局ポロが評価されるということにはなっていないようなのです。
2001年に登場したポロは、初代ポロの要素を21世紀的にリファインした魅力的な存在ですが、2016年9月と比較して50万円以上も安くなっている様子。
2016年9月といえば、多くの腕時計が安い時期ですから、その時点と比較して値下がりというのは、かなり評価されていないという印象になります。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年9月 の安値(楽天) |
2019年9月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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ピアジェ
ポロ GOA26019 |
中古 | 3年 0ヶ月 |
¥1,970,000 | ¥1,449,000 | -521,000 | 73.55% |
現在、「ピアジェポロ」とWEBやSNSで検索すると、出てくるのは「ポロS」のほう。
同じポロという名前でも、「ポロ」と「ポロS」ではそのキャラクターが大きく異なるのですが、ピアジェの各モデル自体が多くの人に知られていないため、その違いは認識されていないと感じます。
ポロSは、ポロの後継モデルというよりも、アップストリームの後継といえるモデル。
アップストリームは、この記事のポロが登場したのと同じ2001年頃に登場したシリーズですが、ピアジェ初のステンレスモデルとしてデビューしました。
その時代では、『SSのアップストリーム/K18のポロ』というように、はっきりとした区別があったわけですが、「ポロS」という名称にすると、かなり分かりづらくなります。
今までポロという文脈が、いつかは多くの人に理解されるのではないかと思っていた筆者ですが、現在のピアジェの様子を見る限り、そういった未来は来るのか?とも感じてしまいます。
高級な時代のポロは数がかなり少ないため、その価値を分かる人が共通認識を持ちづらく、まして、ポロSという存在により、本来のポロの文脈は分かりづらい状況です。
ただ、現在のポロの約144万円という水準を見ると、そういったポロの文脈に関係なく、同じ時代のデイデイトなどと比較して、K18ブレスレットの高級モデルとしては安いという印象になります。
将来的に評価されるのか否かは不明ですが、“デイデイトより安く購入可能なWG”なおかつ“雲上級スポーツモデル”という観点では約144万円は安いと感じます。