小窓タイプのカレンダーモデルといえば、かつては永久カレンダーの要素であり、それに該当するモデルも1990年代にはほぼ見かけず、ヴィンテージ銘品だけの要素という印象がありました。
“文字盤上部の2つの窓でカレンダーを表示、下部にはムーンフェイズ”というこの配置は、かなり魅力的と感じる一方、かつてその入手難易度はかなり高いという印象があったのです。また、そういった時代、この配置のカレンダーモデル自体があまり認知されていなかったかもしれません。
小窓カレンダーに対する常識を変えた存在こそ、2003年に登場したWEMPEモデルだったといえます。
ドイツの正規販売店であるWEMPEは、同社の125周年を記念してパテックフィリップの5125を作ったのですが、5125こそ、年次カレンダー機構で初めて小窓タイプのデザインを採用。
かつての銘品3448を彷彿とするそのデザインは、かなりな注目度となりました。
そして、パテックフィリップはその後、3448系デザインの年次カレンダーをレギュラー化するに至るのですが、そのモデルこそ、2010年に登場したこの5396G-011です。
5396Gには5396G-001がありますが、そちらは2006年に登場。文字盤デザインは1930年代頃に存在したカラトラバ風で、近代的なパテックフィリップとしてはかなり異例なデザインとなっています。
それに対してこの5396G-011は、まさに「パテックフィリップらしい」といえる見た目となっており、WEMPEや3448にも通じるデザインが採用。
そういったこともあり、2015年頃までは相対的に高いパテックフィリップという印象があったといえます。
けれども、2017年頃からそういったポジションは、ノーチラスへと変化。
ノーチラスが高くなったのと逆に、この5396G-011は下落傾向となっていたのです。
2017年9月に5396G-011は380万円という水準だったのが、2018年11月には約360万円へ下落。実に20万円ほどの値下がりとなっていたのです。
しかし、2019年の今、この5396G-011は上昇傾向となっている様子。
現在の水準は385万円であるのですが、これは2018年11月を上回るだけでなく、2017年9月の水準より高い様子であるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年11月 の安値(楽天) |
2019年9月 の安値(ヤフーショッピング) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
年次カレンダー 5396G-011 |
中古 | 0年 10ヶ月 |
¥3,606,000 | ¥3,850,000 | 244,000 | 106.77% |
2019年7月以降、多くの現行人気モデルが値下がり傾向となり、ノーチラスといえどもその例外ではありませんでした。
特に5712/1Aや5711/1Aなどの下落は100万円単位という様子となっており、かなり派手な下落となっています。
その一方で、2018年から下落傾向となっていた5396G-011は、回復傾向どころか、2017年9月以上の水準に上昇しているわけです。
人気モデルとして注目されていたモデルが下落する印象の今、近年注目度が高くなかったと感じるモデルが上昇しているというのは面白いと感じます。