GMTマスター2は現在大人気のモデルですが、それに対して“新しい”といった特別感はあまり感じません。しかし、1980年においてはそうではなかったようであるのです。
というのも、当時のGMTマスターの標準的な形が、現在「アンティーク」と捉えられる旧世代な形状だったのに対し、初代のGMTマスター2は、その後の5桁に通じるデザインだったから。また、ベゼルの配色も赤黒が初採用されていました。
定価の観点でも、デビュー当時のGMTマスター2はSSモデルとしては最高値といえる水準で、目立った新作という印象だったと推測できます。
しかし、90年代になるとGMTマスターも、GMTマスター2も5桁世代へと変化。両者の見た目は、ほぼ差がない状況となったのです。
そして、1999年にGMTマスターはシリーズが終了。それ以降、GMTマスターシリーズは「II」のみとなったのです。
そういった経緯があるため、80年代に特別感を感じた16760は近年では、5桁世代と特に大きく変わらない印象があり、相場も16710と大きく違わない傾向がありました。
実際、2016年11月では、16710も16760も、ともに60万円台という水準。その価格差は10万円以内にとどまっていたといえます。
それが2017年になると16760の評価はガラッと変化。2017年11月に16760は約111万円という水準に達し、16710との価格差が数十万円単位となったのです。
そして、2018年にも16760は上昇し、9月時点で約140万円という水準に達していました。
しかし、それから1年が経過した今、そんな16760はやや値下がりしている様子であるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年9月 の安値(楽天) |
2019年9月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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ロレックス
GMTマスター2 16760 |
中古 | 1年 0ヶ月 |
¥1,406,400 | ¥1,348,000 | -58,400 | 95.85% |
16760は、現在のボトム価格が約134万円であるのですが、その次に安い個体、さらにその次といった個体を見ても140万円前後という水準です。
そういった意味では、昨年と大きな変化がないともいえるわけですが、それでもやや値下がり傾向にあると感じる側面があります。
16760は、2017年に100万円以上となって以降、一時的にそれまでのボトム価格を大きく下回る個体が出るという傾向を感じます。
例えば、140万円がボトム価格だったとしたならば、110万円の個体が出るという具合なのですが、そういった例外的に安い個体は比較的すぐに売れてしまう傾向があり、同じ水準の個体はしばらく出てきません。
そういったことを考慮して、16760の水準を見ると、現在のボトム価格は目立って安いとはいえないため、「やや値下がり」と感じるわけです。