90年代後半から2000年代中盤頃までに存在したパシャ38mm。
パシャオリジナルとも呼ばれるこのモデルは、1985年に登場した初代パシャの系譜を継ぐ存在といえるわけですが、文字盤デザインやラインナップが大きく変更されたため、初期世代とは区別される傾向があります。
それでもパシャオリジナルと呼ばれるのは、おそらくパシャCと区別するためでしょう。1995年にパシャCが登場するまで、パシャには基本、別シリーズがなかったため、38mmモデルをオリジナルと呼ぶ傾向があるのだと推測できます。実際、ケース形状は1985年モデルと変わっていないと感じるため、オリジナルという呼び名はしっくりきます。
ただ、このパシャ38mmの時代は、ラインナップが3つとシンプルで、腕時計ブームとも重なっていたために、注目度が高かったという傾向があります。
そのため、38mmとそれ以前の時代は分けて考えたほうが分かりやすいのですが、中古で売り出されるのは、このパシャ38mmが多く、それ以前の世代はあまり見かけません。
パシャ38mmは、先のように腕時計ブーム時に現行モデルとしてメジャーだったため、やはり今でも中古流通量は他のモデルと比べて多めであるのです。
ラインナップはどういったモノが存在するかというと、
なのですが、3針にはグリッドありと無しが存在。また、それぞれ、革ベルト版とブレスレットモデルがあるため、SSのみで、6つの相場が存在するといえますが、グリッドには後期前期があるため、それも含めると7つの相場がある状況です。
ちなみに、2001年頃には黒文字盤のプラチナベゼルモデルが登場していますが、そちらにはブレスレットはありません。
さて、そんなパシャ38mmの価格帯はどういった傾向があるかというと、3針が最も安く、GMTが中間、最も高いのがクロノグラフという傾向があったといえます。
ただ2017年以降、クロノグラフが急激に安くなったりと、相場が乱高下する傾向があり、その結果、2017年8月にはこのGMTパワーリザーブも約22万円という水準になっていました。
2017年以前だと、クロノグラフは30万円台、GMTパワーリザーブは25万円程度という印象があったため、ここ2年ほどの相場は以前より安いと感じる水準だったといえます。
しかし、そんなパシャ38mmの価格帯は最近回復傾向にあるといえる状況。
2019年4月にはクロノグラフが30万円台に回復したという様子をお伝えしましたが、今回GMTパワーリザーブも約25万円という水準に回復しているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年8月 の安値(楽天) |
2019年10月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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カルティエ
パシャ38mm W31037H3 |
中古 | 2年 2ヶ月 |
¥228,960 | ¥254,100 | 25,140 | 110.98% |
パシャ38mmは、新品当時、ステンレスのカルティエの中では上級モデルに位置する存在で、その新品実勢価格は当時のロレックスより高いという価格帯に位置していました。
最も安かったグリッドなしの3針モデルでも、当時プレミア価格だったエクスプローラーより高かったため、デイトナを除くと、どのSSスポーツロレックスよりも高い価格帯だったのです。
そういった印象があるためか、2012年頃までは相対的に高いと感じる序列に位置したパシャ38mmなのですが、2013年のアベノミクス以降に相場が上昇傾向とならなかったため、結果的に他のロレックスより安い価格帯となってしまいました。
しかし、高級モデルだけあって、その内容は凝ったもの。
そのため、今でも一定のファンがいる様子で、きちんとした需要がある存在であるようなのです。