カラトラバの96といえば、パテックフィリップの王道という存在感であり、多くの時計ファンから「最後の腕時計にしたい」といわれることが多いように思います。
96は、1930年代に登場し、1960年代頃まで製造されていた長寿モデルですが、その年式はいずれも「ヴィンテージ」。ただ、これまでロレックスの4桁世代のような評価はあまりなく、「最後の腕時計」と意気込まなくても、そこまで入手難易度は高くない傾向がありました。
実際、96は2016年5月の段階でも約109万円で購入可能。2014年4月の段階では80万円という水準でしたが、その時期まで60万円から80万円の間で容易に購入可能という印象がありました。
また、常に数本が売り出されており、なにかと入手難易度が低いといえたのです。
ちなみに、生産年が長いということや、その時代の傾向からも、96には様々なバリエーションがあるため、数が多いといっても、細かい条件まで見ると入手難易度は低くなかったかもしれません。
ただ、2010年頃までは、比較的珍しい黒文字盤ですら100万円以下という水準だったため、いずれにしても「高い」という印象はありませんでした。当時の96の価格は、パテックフィリップとしては2番目に安いぐらいの序列だといえ、最も安かった3796が60万円ぐらいだったならば、60万円台後半ぐらいという印象だったと思います。
そういったことから、これまでの96は、一部のマニアからの評判は良くても、世界的にはそこまでの評価となっていないという状況だったといえます。
しかし、そんな96は、今、かつてとはかなり異なる様子となっているのです。
現在、96のボトム価格は、200万円以上という水準に位置。その売出し本数も数本程度という少なさとなっている状況です。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年5月 の安値(楽天) |
2019年10月 の安値(ヤフーショッピング) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
カラトラバ 96 |
中古 | 3年 5ヶ月 |
¥1,098,000 | ¥2,020,000 | 922,000 | 183.97% |
96には様々なバリエーションや年式があるため、同じ年式、同じ仕様で比較するのは困難どころか、ほぼ無理だといえます。ただ、これまで仕様違いによってそれほど大きく価格帯が変わるという傾向もなく、先のように黒文字盤でも「そこまで高くない」という時代があったぐらいです。
そのため、かつての価格と比較する場合、ボトム価格同士で比べれば良いといえるわけなのですが、そうすると、2016年からの3年間で90万円以上の上昇となっていることが分かります。
ちなみに、現在、黒文字盤の96は売り出されている姿を見かけませんが、現在、96はボトム価格でも200万円以上という水準であるため、もしも売り出されたならば、黒文字盤の評価はどうなっているのだろうと気になるところです。