この時計、見た目は50番にそっくりですが、実は違うモデルであります。
そのモデル名こそ、PAM00333。2009年に登場した、チタンブレスレットのモデルです。
今の時代、この333番を見ても、なんだか普通のモデルに見えてしまい、決して珍しいとは感じないでしょう。
しかし、このモデルこそパネライにおけるかなりなレアモデルであるのです。
レアな理由は多々あるのですが、最も分かりやすいところだと、2009年にしか製造されなかったという点。
ただ、パネライの場合、結果的に1年しか製造されなかったモデルは珍しくないため、この要素だけでは特別レアとはなりません。
どこがレアなのかというと、流通数がとても少ないということなのですが、それは、このモデルのレア要素の1つにすぎず、さらなるレアポイントがあるといえます。
ではそれは、なにかというと、「パネライにおけるチタンモデルの文脈と異なる」という点。
パネライのチタンモデルの通常ラインナップ版は、2000年に登場した55番61番からスタートしたといえますが、当初チタンモデルの扱いは、分かりやすくいうと「色物扱い」だったといえます。
それらチタンモデルは、PVDの後継という枠だったといえ、文字盤もチタン専用色。ステンレスだと黒文字盤となるのが、チタンだとブラウン文字盤が採用されていたのです。
もちろん、クロノグラフやサブマーシブルといったモデルだと上記の限りではありませんが、シンプルなルミノール系においては、そういった傾向があったわけです。
ちなみにその時代、「青文字盤」という存在もまた、チタンに近いキャラクター。ステンレスでも青文字盤の場合、サテン仕様となる傾向があったのです。
その後、青文字盤とチタン文字盤は合体され、青文字盤チタンモデルが登場しています。
とはいえ、2000年代中盤頃には、そういったルールはほぼ撤廃。ルミノールベースのチタンモデルにも黒文字盤が採用され、チタン専用という要素はほぼなくなりました。
ただその頃、ブレスレットモデルは、パネライのメインストリームから消えつつあった状況であるため、チタンのブレスレットモデルについては、“ステンレスと同じ”というモノがほぼ無かったわけなのです。
さて、再度この333番を見てみると、50番をそのままチタン化したモデルのように見えるわけですが、これまでの前提を考慮すると、いかにそれがレア要素かということが分かります。
そういったことから、これまでこの333番は、相対的に高い水準となっていたわけですが、それは2019年現在でも同様の様子です。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2015年9月 の安値(ヤフオク) |
2019年11月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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オフィチーネパネライ
ルミノールマリーナ PAM00333 |
中古 | 4年 2ヶ月 |
¥550,000 | ¥648,750 | 98,750 | 117.95% |
このPAM00333が登場した2009年には、PAM00298というステンレス40mmブレスレットモデルが登場していますが、298番には新しいデザインのブレスレットが装着されているのです。
従来、そういったデザイン要素は、チタンに採用される傾向があったのが、2009年時点では、チタンが従来型を踏襲、SSに新デザインが採用となったのです。
その結果、333番は、50番を全くそのままにチタン化したという見た目となり、パネライにおける珍しいチタンモデルとなったわけです。